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嫌いな上司から別に私がやる必要なくない？っていう仕事を頼まれても聖母のような微笑みで承諾する。
何故なら8年も密かに想い続けてきた男に好きだと言われたから。
久しぶりに社食が食べたくなって優雅に食堂へと向かったら激混みで座る席がなくたって落ち込まない。
何故なら8年も密かに想い続けてきた男に好きだと言われたから。
しっかり寝ているつもりなのに新卒の子から「最近お疲れ気味みたいなので…」って気を遣わせてお菓子とか貰っても荒んだりしない。寧ろ気にかけてくれてたのねって感動しちゃう。
心に余裕がある生活ってなんて素晴らしいの！
それもこれも何故なら8年も密かに想い続けてきた男に好きだと……
待って。
翔太、私のこと「好き」とは言ってなくない？
俺にすればよくね？は聞いた、俺を好きになれよも聞いた。俺に靡けよ。靡けよって、中々出てこないこんな言葉。
うん、とっても良い。
一言一句覚えてるのキモ…じゃなくて、大きく広く捉えればそれはもう好きって言ってくれてるようなもんなんだけど、なんか命令されてる？どストレートに「好き」とは言われてないじゃん。
なんなら付き合ってほしいとかそういうのも言われてない…
言わせたい言わせたい言わせたい
聞きたい聞きたい聞きたい！！！
欲が大きく膨らんでいくにつれてキーボードを叩く音も大きくなっていたみたいで周りに余計心配されてしまった。今後部署内で孤立したら翔太のせいだ。
ポケットの中でスマホが震えたから確認すると、仕事中にも関わらず以心伝心しちゃってんじゃーんって仰け反りそうになる。
まさにいまあなたのことを考えていました！渡辺さん！
なべおつかれ。残業してんの?
Aおつかれーしてるけどしなくても良いやつ!
なべなんやそれ笑
焼き鳥食い行こうぜ
ちょっと前までならこんななんてことない誘いもいまじゃ世界が煌めいてみえてしまう訳で。
デートだ…完全なるデート…正真正銘、社会人同士による焼き鳥デートですからホントすみませんね皆さん。
残業なんていつでも出来るし。しかし翔太との焼き鳥デートは今日しか出来ないかもしれないじゃない！
即座にPCの電源を落として足早に会社を立ち去った。
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作者名：無色透明 | 作成日時：2023年11月23日 22時
