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歩く早さとかも関係あるけど高校から家までの帰り道、二歩くらい先を行く翔太が楽しそうに話す横顔を斜め後ろから見るのが好きだった。
夕日に照らされてできた影をみて「俺たちってこんな身長差あんのな」って喜ぶ翔太も好きだった。元々私の方が低いし後ろにいるんだから当たり前じゃんというツッコミはしないであげてたなぁ。
なんて当時の淡い恋心を思い出していたらぽんっと左肩がぶつかってそこで翔太が立ち止まったことに気付いた。
「A、」
「どうしたの？」
「手あっためて」
もちろん。と返事をする前に繋がれた手はやっぱり指先が冷えていて。
翔太もそれを分かってたみたいで顔を見合わせて笑った。
「なんでこんなあったかいんだよ(笑)」
「翔太とちがって隅々まで血が巡ってるから？」
「ふざけんな眠いときはあったかくなるし」
「バブちゃんだねー」
「じゃあ一生かけて面倒みて。
ううん俺がAの面倒みる。幸せにする」
「…それって告白飛び越えてプロポーズですか？」
隣に並ぶ横顔は想像よりも近くてかっこいいからドキドキするのに、向き合った正面の顔はもっとかっこいいなんていうこの感覚は多分一生慣れないんだろう。
「結婚を前提にお付き合いしてください。
これからの人生は全て渡辺に任せてください。」
「…よろしくお願いします。私の人生は翔太に任せるし翔太の人生も私に任せろ。そしてどんどん幸せになろう」
「俺よりかっこいいこと言うなって」
「翔太は可愛い担当で私はかっこいい担当でいいんじゃない？」
私からの提案に翔太は「やーだね」って即答したのち、
ちゅって音を鳴らしてされたキスは一瞬だったのに唇は熱を帯びていた。
いきなりだしで、いまいち理解が追い付かず
口に手を当て愕然とする私を見て隣の彼はまた上機嫌に歩き出した。
真横に並んだ二つの影
あの頃よりも翔太を大きく感じさせた。
【fin.】
終わり
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作者名：無色透明 | 作成日時：2023年11月23日 22時
