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“ 久しぶり。仕事終わりとかご飯でもどう？ ”
結婚式で再会して以来、音沙汰のなかった阿部くんから連絡がきた。阿部くんはもう友達として私のことを誘ってくれているのかもしれない。
でも、そうじゃなかったとしたら。
自分の気持ちをしっかり伝えないと。
私も話したいと思ってた。
そう返して日程の調整を進めた。
「お待たせ、ごめんね会議が長引いちゃって」
予約してくれていた個室居酒屋で先に待っていると15分くらいしてから息を切らしながら席に着く阿部くん。
走ってきてくれたんだ。全然待ってなかったのに。
翔太だったら悪びれる様子もなく優雅に現れて、なんなら「俺が食べそうなの先頼んどけよ」とかうるさいんだろうなぁって浮かんできてニヤけてしまった。
「なんか顔笑ってる」
「ううんなんでもない。全然待ってないよ、お疲れさま」
阿部くんとのご飯…というよりは結局ほぼ飲み寄りだったけど、アルコールが入っているからかこの間よりも堅くならずに話せて楽しかった。
それに飲まないと言えない。
酒の神、力を貸してくれ。
「それでさ話したいことなんだけど、」
「今日って金曜だよね。華金、だよね」
「？そう、金曜日だよ」
「では明日のことなど気にせず阿部、のみます！！」
そう叫んだかと思ったら立ち上がり、腰に手を当て残りのビールを一気飲みし出す阿部くんとカオスな状況を飲み込めずにビビる私。
阿部くんまで狂い出したら登場人物にまともな奴ひとりも居なくなるんですけど…
「俺、分かっちゃったんだよ。ていうか再会したときにはもう分かってたんだけど諦めたくなかったんだよ…」
「阿部くん」
「Aちゃん気付いてないかもしれないけど、しょうたって人の話してるときすごく可愛いんだよ。俺にはその顔引き出してあげられないなって」
無意識に名前まで出して話してたんだ。
自分で気付いてないとかもう病気の域じゃん…
飲まないとやってられなそうな阿部くんをみて心が痛む。
その気持ちも分かりすぎるから。
「話したかったことってそれだよね？」
「再会できてこうやって沢山話できたのも嬉しかった。でも、やっぱり私は翔太のことが好きです。」
「こうなったらAちゃんには幸せになってもらわないと困る。絶対だよ、約束」
弱々しく差し出された小指を絡めて幸せになる約束をした。
幸せになりたい。
幸せになる！
翔太、幸せにしてくれ！！
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作者名：無色透明 | 作成日時：2023年11月23日 22時
