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「最悪。泣きたくないのに涙出る」
「泣けるときに泣いて全部流せ。言っておくけどお前は100悪くない。いや1億パー悪くないからな」
ほらね。根は良い奴なんだよ。
もうなんでもいいやって貰ったティッシュで音を出して鼻をかんだら「さすがに汚ねえわ」って転げ回って笑われた。
「翔太には何でも話せるし言葉にもできるのにな」
「おー悪い気はしねえな」
「ありがたいんだよ。翔太がいてくれて」
「もういい(笑)そういうのいいわ、なんか暑くなってきた」
大泣きして顔がおしまいになってる人間と酔いからなのか照れからなのか真っ赤な顔をした人間。地獄絵？
気を紛らわせたいのか、着けてたヘアバンドを人差し指に引っ掛けてひたすら回してる翔太をみてたら面白くなってきて全てがどうでもよくなってきた。
「はーあちい。お前が変なこと言うから」
「感謝を伝えたかっただけだよ」
「調子狂うからやめろ汗出てきたし」
「こっちは元気出てきちゃった。もっと述べてあげよっか、日頃の感謝を」
ソファーから地べたに降りて、もういいわ！あっち行け！って拒否る翔太を無視してどんどん距離を詰める。
翔太ちゃーんどしたのー照れてんのー？ってただ、ふざけていつものノリで近づいただけだったのに。
視界がぐるんとひっくり返る。
え？って考える暇もなく覆い被さる形になっていて上には翔太の顔がすぐそこにあった。
下唇を噛んで耐えているような表情をしている翔太との距離は、数センチもあるかどうかで。
ふざけすぎちゃったーどいてって起き上がろうと試みるも、肩を掴まれたまま押さえる力も強くてその場から動けなかった。
「本当にどうした？飲み過ぎ…てもないか」
具合でも悪いのかと思って添えるように右手で頬に軽く触れるとお前さぁ…ってため息をつかれてしまった。
何か悪いことでもした？
「…俺にすればよくね？」
「…なにを？」
「だから、俺を好きになれよ」
察しの悪い私でも理解できる。
どうやらこの空気はふざけていい空気ではないということを。
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作者名：無色透明 | 作成日時：2023年11月23日 22時
