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「化粧水とかクリームの種類少なすぎ。同じの使ってると肌が慣れてくるの知んねえの？もっと買え」
家にあがるなり即、疲れた風呂貸せって人ん家の風呂に勝手に入り、スキンケア類も散々使っておいてこの男は…。
でもいくら憎まれ口を叩かれようとこの男を呼んだのはこっちだから何も文句は言えないのだ。
「それで？どうせまた彼氏に振られたとか言うんだろ」
冷蔵庫何もねえじゃんって缶ビール片手に座り込む翔太。
あなたが着けてるそれ、私のヘアバンドなんですけど…まだ使ったことなかったのに…クリスマスコフレの購入特典でついてきたものだけど、ピンク色のヘアバンドを着けることに抵抗はなかったのだろうか。
違和感があまり仕事をしていないのもおかしな話だけど。
「今回は振られてないから。振ったから」
「へー珍しいじゃん。浮気されてた？」
「……」
「それしかないわな(笑)」
プシュッと缶のプルタブを開けながら、Aにしては長く続いた方じゃね？いやーがんばりましたねえってフォローになってるのかなってないのか、いやほぼなってない言葉をかけてくれた。
「…顔が嬉しそうなのムカつく」
「お前が呼んだんだろ」
「それはそうなんだけど」
「まあまあ強がんなって無意識に俺のこと求めちゃってんだよな、素直になれよっ」
うん、やっぱりムカつく。
わざとらしく語尾をあげ揶揄ってくるが間違いではないから悔しい。いちいちうるさいけどなんやかんや話聞いてくれるし、アドバイスは適切だし気は遣わないし。
弱いくせに飲むので、はやくも顔が赤くなりはじめている翔太が寝てしまわないように今回の恋愛がどう幕を閉じたのか手短に説明した。
交際を始めてから1年半を目前にして女と腕を絡めホテル街へ消えていく彼氏を見かけたこと。問い詰めたら結構長い間二股をかけられていたこと。謝罪も反省もなくてビンタしてしまったこと。
強がってはいたけど話をしているうちに怒りと悲しみで涙が溢れてしまう。あんな奴の為に泣きたくなんかないのに。
翔太もまさか泣きはじめるとは思っていなかったみたいで「えっティッシュどこ、ここか」なんて小走りで慌てて持ってきてくれた。
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作者名：無色透明 | 作成日時：2023年11月23日 22時
