言えない私と待てない彼 (ページ3)

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終わった。完全に終わった。

聞き間違いであってくれ…と願いながらゆっくり振り返ると、
ゆるっとしたパーカーのフードを被った背の高いお兄さんがニヤつきを抑えきれない様子で立っていた。

ハイ、3回目だけど完全に終わった。

「聞こえました…よね」
『はい、バッチリ。』
「ですよね…」

私の引き攣った笑顔から察したらしいお兄さんは『あ、でも最後くらいでした聞こえてきたの。多分。うん』と苦し紛れのフォローをしてくれた。

「お気遣いありがとうございます、失礼しました…。」
『こちらこそすみません。でも何ともなくて良かったです。』

私が疑問に思っていると、『この時間にひとりで海にいたので…』って。

飼い犬の散歩途中、ライトが付けっ放しの車が1台だけあるのが気になり見にきたところ私を見つけたらしい。

側には小さい真っ白なワンちゃんが大人しくお座りしていた。

確かにそうだ。
こんな夜遅くにひとりで海に佇んでいる人間をみたら多くの人が最悪の事態を想像して駆け寄るだろう。

いい年して他人に迷惑をかけるヤバイ女、爆誕。

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