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お手洗いついでにいまじゃ社内の隅へと追いやられてしまった喫煙所へ向かうと先客が。
「失礼しまーす」
『お疲れ様です。先に1本いただいちゃってます(笑)』
「どうぞどうぞ」
他部署にいる岩本くんはひとつ下の後輩で
強面だし背も体も大きくて最初はかなりビビり散らかした。
そのうち喫煙所での休憩のタイミングが重なると、こうして他愛もない話をするくらいの仲にはなっていた。
「岩本くんさぁ最近の楽しい話ある？」
『またムチャブリすか、あるかなー』
「ハッピーなの聞きたい」
『ちょっと待ってくださいねいま喉元まできてますから』
こういう無茶振りにも100%全力で真面目に応えようとしてくれるところが面白くてついつい振ってしまう。
岩本くんはハッピーになるかは分からないんですけど、って以前から気になっていた受付の子と今度ごはんに行くことを教えてくれた。
『内緒ですからね』
「これから幸せになるパターンだ。羨ましいな」
『だといいんですけどね。Aさんはあります？』
「無茶振り返し……うーん」
『なければないで全然』
「ううん、あるっちゃあったかも」
「理由は分からないんだけど、落ち込んでいた“ 友達 ”のそばにいたら少しだけど元気になってくれたことかな」
『良いっすね。その“ お友達 ”さん、Aさんがそばにいてくれただけでかなり救われたと思いますよ。』
「そうかな？」
『そうっすよ突っ込まれたくないときもありますし』
「なるほど」
『いや〜いまので8ハッピーくらいいきましたね』
「これ加点されていくんだ」
じゃあお先です。と出ていく岩本くんの大きな背中を見送りながら翔太、どうしてるかなぁって考えた。
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作者名：無色透明 | 作成日時：2023年9月5日 16時
