溶けあう、夜 (ページ2)

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あのとき翔太と名乗っていた彼も
私と同じように友達に騙されたらしい。
だからあんな不貞腐れた態度だったんだって納得した。

『Aちゃんっすよね、名前。』
「あ、そうです。」
『俺と歳同じみたいだから敬語ナシで。』

興味なさそうにしてたけど
そこはちゃんと聞いてたんだ。

『あと翔太でいいから』
「距離の詰め方すごいね」
『今日調子良いっぽい。』
「それは知らないけど。うん、翔太くんね。」
『まぁそれでいいわ』
「……なんかありがとうございます。」

また敬語になってるから！！と
大きな声で笑う姿をみて近寄り難そうな外見に
似合わず意外とゲラなんだと思った。

煙草も吸い終わり手持ち無沙汰になった私は
隣でなんとなくそのまま座っていると

『Aちゃんさ、今日つまらないでしょ？』
「そんなことないよ」
『顔にモロ出てた、帰りて～って。』
「うそ、バレてるかな」
『うわほんとに帰りたかったんだ(笑)』
「あっ、最悪。みんなには内緒にして。」

『どうしようかな～』なんて
翔太くんは腕を組んで意地悪そうに片方の口角をあげて
焦る私に提案してきた。

『抜けない？』
「え？」
『俺も帰りたかったし。』
「でも、」
『あいつらにはテキトーに言っとく。行こ。』

ここに着いた時点で帰りたかったのは事実だけど
この人私が拒否したらとか考えてないのかな、とか
これからどこに行くんだろうと思いつつも、

半ば強引に掴まれた手首を見つめることしか出来なかった。

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