溶けあう、夜 (ページ1)

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『いまどき紙の吸ってるの珍しくない？』
「変えるタイミング失ったというか、
……そのままでいいかな〜って」

これがはじめて交わした会話だった。

急遽誘われた飲み会という名の合コンで
キャップを目深に被り、
自己紹介する番がきても『翔太。』とだけ。
第一印象はかなり愛想が悪い人だった。

久しぶりに会う友達との飲み会だと思ってたから
騙されたような、悲しい気持ちになった私は
早々に席を立ち喫煙できる場所を探した。

個室の居酒屋で全席禁煙だったから
仕方なく外で煙草を吸っていたときだった。

『ふーん』
「煙草吸ってる女の子自体
いま少ないですよね、言うと大抵引かれて。」

喫煙者であることを伝えると男女関係なく
あまり良いイメージを持たれたことがなかったから
またなにか言われるんだろうなと少し身構えた。

けれど、

『別にこっちの自由じゃないすか？
俺も吸いに来たし。ま、電子だけど(笑)』

目は相変わらず深く被ったキャップで
よく見えなかったけど大口を開け、子供のように
笑ったのが見えて少し驚いたのを覚えている。

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