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( 脅威さん視点 )
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『猿山せんせー、体育ダルいんで休みまーす』
堂々と先生に見学宣言をするのは俺の幼馴染み、A。
彼奴とは只の幼馴染みだったんやけど、とある日の昼休みに聞かれてん。
「ぶっちゃけ私ってゾムの恋愛対象？」って。
そん時の俺は弁当食う事に夢中やったし、正直別にAの事を気にしてなかった。
だから咄嗟に「食害対象」って答えてしもたんよ。
だって急に言われて普通答えられへんやろ。
とまぁこれまでのエピソードを語ったところで体育館行かへんといけんわ。
「希ｩ、早く行けよ〜？」
俺がずっと席から離れなかったからか、しっかりと猿山先生に肩をぽん、と叩かれる。
「は〜い」
ぐぐぐと背筋を伸ばし、欠伸をしながら廊下に出る。
教室が暖かくて、廊下に行くとひんやりとした空気が頬を撫でる。
その感覚が嫌で嫌で。
ぶるりと一回身を震わせてしまう。
もうAは行ったんかな、とか 懲りずに見学するんかな、とか勝手に思ってまう。
あーあ、あんな事聞かれてからいつもみたく話しかけずらいねん。
溜め息をついてからゆっくりと階段を降りて行く。
2年の教室は2階で、体育館は1階だから毎回めんどくさい。
『待って､ゾム！』
後ろからあだ名で呼ばれたので立ち止まって上を向く。
すると、ぱたぱたと袖を揺らしながら階段を降りてきたA。
「あ、着替えさせられたんや」
にぱっと口角を上げながら言うと、ほんまあの鬼畜先生め、と悪態をつきながら隣を歩いた。
聞こえてるぞ、という猿山先生の声は聞かなかった事にしよう。
Aは「今日バスケらしいで！」とワクワクしながら隣を歩いている。
バスケは普通に嬉しいので、マジ？と返した。
…意識しとるん、俺だけなん？
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作者名：彼方。 | 作成日時：2020年2月13日 22時
