前髪�� ページ4
激しく地面を打つ雨に、空を切る音が聞こえてくる。あまりの風の強さで庭の鉢やバケツなんかはガラガラと転がってきていた。天候は最悪、外に出ようとする人はいない。暴風のせいで揺れる家の中、嵐が過ぎ去るのをみな待っていた。
周囲はこんな状況だというのに、外で雨宿りをする男が一人。
雨宿り、と言っても雨と風のせいで雨ざらしなのとほぼ同じだったが。服が水を含んでずっしりと重そうだ。裾から吸いきれなかった雨水が、一滴一滴と落ちてきている。
額に張り付いた、目にかかるほどの金髪をうっとおしそうに避けながら、ひたすら立ち尽くしている。
◇
突然嵐に見舞われてからどのくらい経ったか。どこかの家で休憩させてもらおうかと考えたが、国という立場上そういう行動は控えた方がいいだろう。感覚のなくなってきた指先を意味もなく見つめながら、嵐が過ぎるのを待つ。
「ーのーー、ーー！！ーー、ーーーーよ！！！」
遠くから、服が濡れるのも構わず駆けてくる少女。何かを叫んでいるが、耳に届く前に風で掻き消されてしまう。まさか人が出てくるとは思ってもいなかったし、何よりこっちに向かってくるのだから驚いた。
バシャバシャと水たまりに足を突っ込みながら近づいてくるのをなんとなく眺めながら、洗濯が大変そうだと呑気に考える。
目的は自分なはずなので、――というかそれ以外ありえないのだが――話くらいは聞こうと自分も少女の方へ足を進めた。
「どうしたんや」
「いや、どうしたじゃないですよ！こんな雨の中何してるんですか！？」
「雨が止むまで待ってようかと」
もしかして、明日の朝までここで待つ気ですか。そう怪訝そうな顔をして聞かれたので、大真面目に頷いておいた。この会話をしている間にも、雨は降り続けている。
「しばらく止みませんから、うちで休んでいったらどうです？」
呆れたように少女は言う。
随分とお節介だ。
国として警戒し、断るか。ぐらり、天秤が揺れ動いている。
だが
「あ、うちの中濡らされると困るので、拭いてから来てくださいね」
もちろん、言われなくても。頷いてタオルを受け取った。
このあとシャワーを借りたはいいものの着替えがなくて一悶着あったり、床が濡れていたせいでラッキースケベが起こったりしたがそれはまた別のお話。
(どすこい梅干し太郎)
────────
山なし落ちなし意味なし
突っ込んではいけません
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
箸レーゼ(プロフ) - 雑草さん» わ、ありがとうございます…！！！全然大丈夫ですし、本当にありがたいです泣 ボードかメッセージの方でもしお話できそうでしたら、連絡くださると嬉しいです。他にもどなたかいらっしゃればもっと盛り上がる？と思いますし…… (6月4日 22時) (
レス) id: afe782e51a (このIDを非表示/違反報告)
雑草(プロフ) - ｯｽーーーー、正直言ってめっっっっっちゃ引き継ぎたいんですけど、語彙力に自信が無いというか、こまめに更新できないといいますか……。 (6月4日 22時) (レス) id: a938fb89f1 (このIDを非表示/違反報告)
らいむ - 私も蘭領です！細々と蘭兄さんのストーカーしてます！！ (5月5日 22時) (レス) @page4 id: 7852438752 (このIDを非表示/違反報告)
雑草(プロフ) - 蘭領いますろ！！ (2023年4月18日 14時) (レス) id: a938fb89f1 (このIDを非表示/違反報告)
（(プロフ) - ら、あ、蘭さん！！！蘭領はここにいます！！！！！！！！ (2023年3月26日 12時) (レス) id: 0c15816aed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蘭領の聖地(建設予定) x他3人 | 作者ホームページ：なっしんぐ
作成日時：2023年3月16日 20時
