あなたが好き。３

#123 ページ23

.





なんとなく２人の時間の終わりが

近づいてきるのがわかってか

車内はなんともいえない空気で

広臣もとくに言葉を発することなく

車は最後の目的地に到着する。




登坂「 少し歩くけど平気？ 」


「 うん、大丈夫 」



パーキングに停めた車から降りて

人通りの多い道を並んで歩く。



すれ違う人とぶつかりそうになり

少しよろけると

広臣が「 仕方ないなあ 」と

わたしの右手を包んでくれた。



今まで手なんて

数えるほどしか繋いだことないのに...



「 バレたら大変だよ？ 」
「 撮られちゃうかも... 」



わたしのそんな言葉を無視して

広臣はさらにわたしの手を握る。



登坂「 俺は別に撮られても構わない 」



なんだかやっと恋人っぽいことが

できているのに

今日で、あと少しで終わりだと思うと

胸が痛んだ。



本当にわたしと広臣は

これで終わりでいいのか...





「 え、ここ？ 」



広臣が入ろうとしたお店に驚く。



登坂「 は？ 」



ドアマンによって開かれた扉を前に

振り返る広臣。



「 こういうところ来るなら言ってよ。わたし、普段着すぎる 」


登坂「 それなら俺だってこんなだろ？ 」


ライダースの裾を持って広臣がそう言う。



いや、広臣はそれでも

お洒落に見えちゃうんだから。



登坂「 個室だし、大丈夫だから 」



あまり入口で立ち止まっていても

目立って人目も気になってしまうので

縮こまりながらお店へ入った。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←#122

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す