愛おしい狂おしい ytym (ページ4)

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壊れるほどに　End ページ4

ぷーっ、ぷーっ、と電話が切れる。俺が無理やり切ったのではない。
いつの間にか後ろにいた“彼”が瞬時に着信終了ボタンを押した。

「やまちゃん、この子……誰？撮影で一緒だった子？やけに仲良さげだったんだね。2週間も一緒だったらそうなっちゃうのかな？でもダメだよやまちゃん。やまちゃんは俺だけのモノなんだから…。あ、この三流女優見覚えあるわ。俺もドラマの撮影で一緒だったことあるよやまちゃん。俺の時もとーってもうざかったから覚えてる。ねえやまちゃん、この子やまちゃんに二度と関われないようにしてあげるよ。」

………やってしまった。
完全に“裏返って”しまったゆーとにはもう手がつけられない。
“こっち”になってしまったゆーとは、所謂ヤンデレ。「やまちゃんに危害を加える存在は消す」と豪語するほど狂ってしまっている。

「ごめんゆーと、その子とはもう話さないし連絡先も消すから、寝よう？」
「ううん、ダメだよやまちゃん。
こんな女は早いうちに始末しておかなきゃ。あ、三次会の場所送られてきたよ？
ここにこの女は来るんだ。そっか、ちょっとまっててねやまちゃん。今すぐ行ってこの女
「ゆーとっ！！」

目に焦点が合っていない、俺の声も届いているかわからないが、“元に戻って欲しい”その一心でゆーとを力一杯抱きしめる。

「……………わ、やま！？
ど、どうしたの？怖い夢見ちゃった！？」

…良かった。戻ってくれた。

「ゆーと、俺のこと、好き？」

「！、…上目遣い反則！大好きだから早く寝るよ！」

ひょいっと俺を持ち上げて同じベッドで再び眠りにつく。

いつからだろう、ゆーとの人格が別れてしまったのは。俺のことを「やまちゃん」、「やま」と違う呼び方をして呼ぶことが多くなったのは……。

すやすやと眠りにつく彼の顔を見ながら考えても答えは出てこない。

でも、

「好きだよ、ゆーと。」

この気持ちさえあれば、なんでもいいのだと自分に言い聞かせる。
いつか俺のせいで彼が間違いを犯すかもしれない未来には見ない振りをして、俺は目を閉じた。

「ふふっ、俺も好きだよ。…”やまちゃん“」

おわり