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伊野尾side
「「「ただいまー!」」」
薮さんとたわいない会話をしていると、玄関の扉が開く音がした。声の数からして3人か。
「薮ちゃん、靴の数増えた……って、新しい同居人、ですか?」
「やまぁーー! おかえりー!」
「ちょっ、裕翔くんうるさい、」
中島さんに抱き着かれた人は綺麗な顔をしていた。女の子か、なんだいたんじゃん。
「今勘違いしてるでしょ、山田のこと女って」
「え、違うんですか?」
「あの、男です……」
控えめにその人が言ってきた。男だといわれてもやはり信じがたい。
一方あいつは同じぐらいの歳の子と何か話していた。子供って仲良くなるの早いよな。
「あのねぇ、このおうちにはこわぁいの、いるんだってぇ!」
「え! こわぁいのいるの! たべられちゃう?」
「いーこにしてないと、たべらーちゃう!」
「やぁ! じゃぁ、いーこにしよおね!」
「うん! だからねぇ、おうちははしっちゃだめなんだよぉ!」
「そーなの! ゆーとさん、はしっちゃだめなんだよぉ!」
「んふふ、光くん、どうして?」
「こわぁいのにあたまからぱぁくってたべられちゃうの!」
「おいしいおいしいってされちゃうよ!」
「えー、それは嫌だなぁ。じゃあ走んないようにするね!」
わぁ、小さい子の会話に中島さんが巻き込まれた。俺だったらあんな優しく返せないな……なんて思ってた。
「ふふ、伊野尾さんって子供苦手ですか?」
「わ、中島さん、びっくりした……」
「そのうちこの生活にも慣れますよ、みんな『似た者同士』なんですもの……」
「似た者同士」。その言葉が引っ掛かった。俺みたいな不幸な人なんてそうそういないでしょ。
たかぎに大貴くん、と呼ばれたあいつを見た。
大貴……あいつがどんな思いでそんな名前をつけたかなんて知らない。顔なんて俺に全く似てないし、性格なんて俺と正反対だ。
そんな奴に果たして俺の血が流れてるのか。俺に全く似てないのに。
「それじゃあ、みんな揃ったし、ご飯食べながら自己紹介でもしようか!」
薮さんのその言葉でみんなが食卓を囲んだ。
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作者名:ゼブラ x他1人 | 作成日時:2019年1月5日 13時