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伊野尾side




「あ、起きた」



ソファでのんびりしているとそいつは起きた。「んーっ」と呻き声を上げて周りをキョロキョロと見渡した。





「ここ、どこ?」



「さっきお前が言ってたお城みたいなおうち」




そう言うとそいつは目をキラキラさせて「おしろ! おしろ!」と部屋中を駆け回った。



が、途中で薮さんに捕まったのか抱えられて戻ってきた。





「いいですかぁ? このお城にはね、こわぁい怪物がいるの!」



「こわぁいの?」



「うん。だからね、いい子にしてないと頭からパクって食べられちゃうんだよ!」



「え! たべられちゃうの! じゃあだぁきいいこにする!」



「うん! えらいねぇ」





そう言われて降ろされたそいつは今度は忍び足で歩き始めた。子供って単純だなぁ。






「あの子の名前は?」



「確か、大貴だったと思います。有岡大貴。俺と名字が違うのは……」



「わかったわかった。詳しい話は後で訊くよ。で? そっちから質問は?」



「……子供あやすのうまいですね、」



「まぁ、慣れてるからね」





毎朝大変なんだよ、と話すということは子供持ちか? ここの住人は不思議すぎてよくわからない。





「あ、そうだ。あの子の保育園とかはどうするの?」



「まだなんも決めてないです、」



「じゃあ光と同じとこにしちゃおう! 送迎も楽だし」



『光』と新しく出てきた名前に困惑した。ここにはいったい何人住んでるんだ。




「あの、ここって何人いるんですか?」



「ん? えーっと今日新しく来た君たちも併せて9人だね!」




ということはまだ会ってない人が3人いるのである。





ここがよくわからない。もう会わないと約束したはずのあいつが帰ってきて子供だけ置いて逃げて、なんか気が動揺して……。



なんだか、不思議な森に迷い込んでしまった気分。

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作者名:ゼブラ x他1人 | 作成日時:2019年1月5日 13時

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