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涼介.
『何かって……仕事してきただけだよ。ごめんね、心配かけて』
大「A」
『……なに、大貴』
大ちゃんがそばに寄ると、Aちゃんの瞳が揺れた。「何ともないから」と笑うその表情も、少しずつ弱々しくなっていく。俺だけじゃなく、他のメンバーもそれに気が付いていた。
薮「……A、何も俺たち怒ろうってわけじゃないんだからさ。嫌なことあったら言ってくれたら良いんだって」
『嫌なこと、って……言われても、何も、』
裕「そんな顔で言っても説得力ないよ?……こっち座って、ゆっくり深呼吸してみなよ」
伊「ほら、おいで」
ソファに座らされたAちゃんの頭を、雄也が軽く撫でる。光くんはその正面に座って、「話してみろよ」なんて優しく笑った。知念もちゃっかりAちゃんの背後に立って、背中をさする。
ここまでされたらAちゃんも折れてくれたのか、大きな瞳から涙が零れ落ちた。
『……ごめ、』
大「ううん、俺こそごめんな。ずっと我慢させて」
『大貴は何も悪くないじゃん……っ、あのね、』
薮「うん、ゆっくりでいいよ」
ぼろぼろと涙を流しながら、自分の中にある悩みや辛いことを少しずつ吐き出すかのように、ぽつりぽつりと呟き始めた。今の俺たちにできるのは、ただ聞くこと。
『ずっと、つけられてて……家の場所も、バレて』
大「……うん、」
『そこまで大勢はいないけど、外に出る度に、誰かが待ってるのが見えて』
光「うん……」
『今日も、スタジオまでつけられて、終わるまで待たれて……』
一段と辛そうな声をあげたAちゃんは、袖を捲って自身の手首を見せてくれた。
薮「それ……」
『強く掴まれて、赤くなって……何か、怖くて』
「消えないんだもん」と声をあげて泣いたAちゃんは、とうとう両手で顔を覆ってしまった。
真っ白な腕についた真っ赤な跡は、一体どれほどの強さで掴まれたのか……想像してまた言葉を失う。どんな理由があってもこんなことは許されないし、許されたらダメだ。
……何よりも大好きな人が泣いているなんて、耐えられない。
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流星(プロフ) - showtimeさん» はじめまして!コメントありがとうございます(^_^)どちらも読んでいただけているとのこと、とても嬉しいです…!私自身少し見切り発車で書き始めてしまったので、お気遣い本当に有り難いです( ; ; )(笑)今後ともよろしくお願いいたします! (2021年8月17日 0時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
showtime(プロフ) - はじめまして!昨日から紅一点を読ませていただいてこちらも気になり読ませていただきました!メンバーそれぞれの雰囲気といい話の展開もとても読んでいて楽しくて最高です!!^ ^並行で大変かと思いますがどうか気負いされませんよう、、願っております!笑 (2021年8月16日 16時) (レス) id: cbd3c1c59a (このIDを非表示/違反報告)
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