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貴方.
『……さむ、』
ずる、と毛布がずり落ちる。ゆっくりと手を伸ばして被り直せば、「起きた？」なんて光の声。
パタパタと音を立てて駆け寄ってくる姿は、幼い頃熱を出した私を心配していた母のように見える。何だか微笑ましくて口元が緩んだけれど、彼は「笑い事じゃねーぞ」と苦笑いのような表情を浮かべた。
光「貧血だって。クマできてるし……ちゃんと寝てんの？大変なの分かるけど」
『うん……ごめんなさい、あんまり寝れてなくて』
光「……どした、やけに素直じゃん」
『いや……その、』
「ん？」と優しく笑って、ベッドに腰をおろす光。医務室らしきこの部屋は、今までに何度かお世話になったことがある。だからあんまり緊張はしないけど……ここで寝込むのは良くないことだから、少し後ろめたい。
でも、それよりも……自分より小さな彼に、寄りかかってしまった。そのことがどうにも心残りで。
光「……まぁ、俺もお前が何考えてるかもう大体分かんのね？」
『うん……』
光「知念はこんなことくらいじゃビビらないって」
『そうかなあ……びっくりさせちゃったでしょ。急に動かなくなって、重くなって、』
鏡に映る私の顔は、真っ白で。血が通っている人間なら、きっともっと明るい顔色をしているはずなのに。今にも死にそうな顔をして倒れるところを見たら、大抵の人は怖い思いをするだろうから。
突然倒れる私に慣れたとは言え、……いや、こんなことに慣れてほしくなかった。私のせいだけど、
光「びっくりはしただろうけど、そんなことくらいで引かねーよ。いつも通りだよ、知念」
『……そっかぁ、』
光「それよりもさ、Aを簡単に支えられるようになった知念に、俺は感動してるわけよ」
『へ？』
光「考えてみろって。絶対無理とか言っときながら、いざってときはお前くらい簡単に受け止められるの。かっこよくなったな〜、あいつ」
『……ふは、何それ』
こんなときまで後輩の成長に想いを寄せる、先輩の鑑のような光。……面白おかしくそう言ってるのは、私を安心させるためなんだろう。
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2021/10/16
続編できました！！
愛されプリンセス3《 HSJ 》
よろしくお願いいたします(^_^)
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