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89. light green × eyes ページ39

貴方.



薮「Aが結婚したら、俺多分一番泣くよなぁ……」

『え、なに突然。どしたの?』

薮「そりゃこんなに大切にしてきたの、Aが初めてだからだよ」




.




薮「……やっべ、ぷるぷるする」

『大丈夫そう?メイクさんスタンバイしてくれてるじゃん』

薮「できれば一人で頑張りたい……」




意外と負けず嫌いな宏太。ふわふわのブラシを使って、自分で選んだアイシャドウを塗ってくれる。ほんのりピンクのそれは、メンバーカラーは気にせず選んだらしく、「Aには可愛いピンクが似合うから」と笑っていた。

何かと「まだ嫁には行かないでくれ」「彼氏ができたら会わせろ」とお父さんのようなことを言う宏太だけど、光よりも私に甘い。どんなときも手放しで褒めてくれたり、辛いときに寄り添ってくれたり。




薮「……うん、どう?!良くない?上手く塗れたよ、キラキラ」

『お〜……いいね、ありがと』

薮「過去一緊張した……」




「そんなに?」と聞けば、楽しそうに頷いた宏太。ハンドミラーで目元を確認すると、じゅわっと広がるように施されたピンクのアイシャドウは、ラメがたくさんで可愛い。メイクさん以外にお化粧をしてもらうのなんて、初めてかも……




『ねぇ、私が結婚するときも、宏太にお化粧頼もうかな?』

薮「……あと五年くらいは、猶予をください…………」

『え〜?何でよ、そろそろ心の準備しててよ』

薮「だから俺それ無理だってずっと言ってるじゃん……」




「寂しいに決まってんだろ」なんて、ヘアセットを気にしつつ、優しく優しく頭を撫でてくれる。

きっと宏太の中では、私はまだまだ小さな子供で。お父さん目線にしては歳が近い気もするけど、俺から離れていくのが寂しいんだ……とか何とか、どこかの雑誌で話していた。


もういい大人なんですよ、私も。そんなこと言ったら、泣かれちゃうかなあ。……だけど私も、宏太がそばから離れて行ったら、やっぱり誰よりも寂しいんだよ。

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作者名:流星 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月5日 1時

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