87. blue × clothes ページ37
貴方.
伊「……Aってさ〜、ずっと笑ってるじゃん」
『うん、アイドルだからね〜』
伊「まあ分かるけど、……でもずっと笑ってるのってさ、ずっと泣いてるのと変わらなくない?」
.
伊「え〜、俺的にはミニがいい」
『……そういう企画だから、好きなので良いよ』
伊「マジで?!」
真っ白なワンピースを片手に笑う慧と、あの日の慧は似ても似つかないような……
たまに鋭すぎることを言う彼は、私がまだ高校生のときにそんなことを言った。自分なりの解釈になるけど、慧にとってあの頃の私は、ずっと無理して笑ってるように見えてたんだろう。
伊「……ん〜、これだな。Aはスタイルいいんだから、体のライン出た方が綺麗だよ」
『おお、可愛いねこれ。タイトだけどちょっとフレアスカートなんだ』
伊「動いたときにヒラヒラすんの、男は好きだよ」
『男ウケばっちりだね』
グッドサインを出す慧には一旦退室してもらって、選んでくれたワンピースを身に纏う。肩の部分は透け感のある素材になっていて、全体的に清楚な雰囲気だ。こういうのが好きなのね……なんて、ちょっと思ったり。
名前を呼んで部屋へ招き入れると、私を見るなりにこにこ笑顔に。
伊「……うん、可愛いなあ。似合ってるよ、A」
『……何か珍しく真剣な顔、してますね』
伊「え?俺はいっつも真剣に思ってるけど……伝わってなかった?」
『ふざけてるんだとばかり』
ぽんぽん、と頭を撫でて、「ほんとにずっと可愛いもん、A」と笑う。誕生日に関した企画だからかな、……いつもより優しくて、甘やかされてる気分。この瞬間は写真として残るだけなのに、恥ずかしくなってきたな。
『……これからもさ、やっぱりずっと笑ってるよ、私』
伊「うん、Aが決めたならそれで」
あの日の言葉を、慧が覚えているかは分からないけど……大切な皆と一緒なら、心の底から笑えるから。だから安心して見守っていてね、なんて。
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