愛されプリンセス２《 HSJ 》 (ページ28)

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貴方.

『きゃー！！』

絵に描いたような悲鳴。こんなに高い声で叫ぶことって中々ないから、何だか変な感じ……

狐のお面を付けた呪いに追いかけられるシーンを撮影しているんだけど、私のソロクリップならではのワンシーンがある。

ただ恐怖から逃げ惑う皆と違うのは、ある瞬間から狐が侑李であると気付く、ということ。涼介を呪った侑李はどう見ても別人だったから、もしかして……と思い至るのだ。現実の私はそこまで頭が良くないけれど、

監督からの指示が出て、くるりと振り返る。驚いたように動けなくなる狐の方へ、一歩ずつ歩みを進めて……

『侑李……だよね、そうだよね、』

「……」

『お願い、助けて……』

狐の中身の方は侑李じゃないけど、本物に縋るように抱きついた。本編は所々しか音声が入らないけど、もし入ったときのために……しっかりと名前を呼ぶ。そして狐が私の背中に手を添えた瞬間、がくんと力が抜けた。

……あ、カットかかった。

「オッケーです！山城さん、お疲れ様でした〜！」

『ありがとうございます！あ、狐さんも……』

ぺこぺこと頭を下げて去っていく後ろ姿を見送ると、カメラマンさんやスタッフさんの後ろからやってくるメンバー。慧と侑李……かな？

伊「いや〜、いいね。これは狐も恋に落ちるよ」

知「違うよ、僕だよ」

伊「中身知念がやれば良かったんじゃない？」

知「できるもんならね」

『え、ちぃちゃんとハグはにやにやしちゃうからさ〜』

「何それ」と笑う侑李は、やっぱり可愛い。