愛されプリンセス《 HSJ 》

49.プレゼントは？ ページ49

貴方.



『……慧、何か欲しいものとかある？』

伊「んあ？……欲しいもの？」

『うん、欲しいもの』




雑誌の撮影中、珍しくペアになった慧にそう聞いてみる。忙しかったのもあるけど、何が欲しいのか分からなくて、誕生日プレゼントも渡せてないし……こうなったら真正面から聞いてやれ！なんて、遠回しな言い方ができない私のやり方。

差し入れのお菓子をつまみながら首を傾げる慧は、「よっこらせ」と私の隣に腰をおろした。




伊「なに、Aちゃんってば俺に何かくれるの？」

『プレゼント渡せてなかったし』

伊「あ〜、そんなのもあったね」

『そんなのって』

伊「おめでとうって言ってくれたじゃん？それで十分なんだけどな〜」




にっこにこの慧は、満足そうに私の頭を撫でる。……分かってたよ、こういう人なんだもん。私が何かしようとすれば、「その気持ちだけで嬉しい」と笑ってくれる。テキトーだけど、思いやりとか優しさはピカイチだからなあ。




『私が嫌なの！そりゃ何でもってわけにはいかないけど……お金ならあるよ、それなりに』

伊「はは、A売れっ子だもんな〜」

『慧には負けるけど……』

伊「そんなことないって」




ブランドものとか、そういうのを欲しがる人じゃないのは分かってるんだけど……それに、もし欲しくても私にねだったりはしない。私には「お姉ちゃんらしくいたいんだよね」なんて言うけど、慧も大概お兄ちゃんぶりたがるでしょ？




伊「そうだな〜……うーん……」

『洋服とか？アクセサリーでも良いけど……慧が好きなの、今度一緒に見に行くとかでもいいよ』

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