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貴方.
小「うわ、かわい！」
佐「ほんまにめちゃくちゃかわええやんか〜！こんなちっちゃい頃から顔整いすぎでしょ」
末「やろ？うちの親も娘欲しかった〜言うてえらい可愛がっててん」
小「今も可愛がられてそうやな」
『……あの、帰っていい？』
なぜか私の小さい頃の写真を引っ張り出してきたせーちゃんは、1枚ずつ当時の状況を説明し始めた。小島くんと佐野くんも楽しそうに聞いてくれちゃうから、当分やめる気はなさそうやし……
現役アイドルに幼少期の写真見られるん、めちゃくちゃ恥ずかしい。だってせーちゃん含む3人の方が絶対かわええもん。
末「せーちゃんせーちゃん、って毎日ついてきてなあ」
佐「仲良しなんすねえ」
小「今も変わらんって素敵やな」
『今そんなついてってます！？』
末「Aはずっと変わらんな」
『……もー！』
わしゃわしゃと私の頭を撫でるせーちゃんと目が合った。
目は口ほどに物を言う、とはよく言ったもので、彼は自分で言うのも憚られるほど愛おしそうな瞳で私を見つめるものだから、なぜか全身がぐっと強張る。
私、多分苦手なんやと思う。せーちゃんから向けられる、名称の分からない愛情のようなものが。どんな贅沢な悩みやねんって話やけど、これは私にしか分からんのやろう。
『……ちょっとトイレ行ってくる』
末「おー、」
普通に言ったつもりやけど、不機嫌とか、そんな風に見られてないかな。何となく不安になりながらも、どうしようもなく居た堪れなくなって、せーちゃんの部屋から逃げ出した。
あー、ほんまによく分からへんかも。大切にされるのは悪いことじゃないし、寧ろ良いことなのに。
大切にされればされるほど怖くなるなんて、どんな話やねん。
廊下で立ち止まっていると、「Aちゃん？」と私を呼ぶ声。せーちゃんママや、そう思ってとりあえず笑顔を見せる。変な心配させたらあかんもん。
「どうしたん、そんなとこで」
『あ、……何もないねん！トイレ貸してもらお、と思って！』
「ほんま？何か嫌なことされたら言うんよ？」
『せーちゃんにそんなんされたことないよ〜、ありがと！』
末澤家は全員優しい。
ほんまに可愛がってもらってるし、それは多分これからも続くんやと思う。有り難いことに。幼馴染みってそういうもんやと思うから、うちの両親もせーちゃん大好きやし。
でも、私はこの先も、ほんまにただの幼馴染みのまま、なんかな。
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年5月16日 0時
