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貴方.
「どこ見て嫉妬したん？」
『なんでそんなん言わなあかんの！』
「単純に知りたいやろ」
『……せーちゃんのいじわる』
「何とでも言いや」と笑ったせーちゃんは、私の頭をぽんぽんと優しく撫でた。
私も私で、それだけで荒れていた気持ちが収まるのだから、ほんまに単細胞というか。いや、せーちゃんの手がゴッドハンドすぎるねんて。だって触れてもらったらそれだけで満足するんやもん。
『……ちゅーしすぎ。ハグも、名前も呼びすぎ』
「ほんで？」
『もう、とにかくベタベタしすぎやねん！まだ私やってせーちゃんとちゅーしてない！おでこだけ！』
そこまで言ってからハッとしてせーちゃんを見やると、見たことないくらいにやにやしとった。何やその顔、何でそんな嬉しそうやねん！
今にも爆発しそうなほど熱い顔を彼から背けると、せーちゃんは特に気にすることもなく移動して、私の目の前に座る。
「そんなこと思っとったんや」
『……顔がうるさい、せーちゃん』
「顔！？」
『声もうるさい』
「それはもうしゃあないやろ」
『もー、こんなんめんどくさいから言いたくなかったのに……』
嫌われたらどうすんねん、そう呟いた声は我ながら弱々しかったと思うけれど、目の前の彼はそんなことお構いなしで、「何言うてん」と笑った。
「Aやったら、何もめんどくさくないけど」
『……気遣ってるやろ』
「遣われへんわ、そんなもん。本音やで」
わしゃわしゃっと私の頭を撫でたせーちゃんは、そのまま私の頬に手を添える。じわじわと熱が広がって同じ温度になっていくのは、何となくやけど気持ちよかった。ひとつになってるみたいで、というか。
いいなあ、私も雪歌ちゃんみたいに大切にされてみたい。でもいっくんはせーちゃんやけどせーちゃんちゃうし、私のこんな願いはお門違いなんやろうか。
「ごめんごめん、からかいすぎたな」
『……うん』
「でもさ、こんな風に好きなときに触れるんは、Aしかおらんで？」
『じゃないとこまる』
「やろ？ちゅーも、Aとしかせえへんけど」
意外と呆気なく触れた唇に応えるように、そっと目を閉じる。少し伸びたせーちゃんの髪がふわふわと頬に触れて、何だかくすぐったい。
甘い匂いも、優しい手も、全部わたしのもの。
「それでも不満？」
『……んーん』
せーちゃんも、わたしの。
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年5月16日 0時
