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貴方.
小「……ほお、ついに自覚したんか！」
『ついにってやめてくださいよ……』
私じゃあまり来ないような個室の居酒屋で、小島くんと2人きり。特に緊張しないのも、やっぱり彼の人柄があってのことなんかな……そう思ったりして。
居酒屋特有の程よい喧騒に包まれながら、今日の本題に突入する。今回に関しては晶哉くんよりも小島くんの方が話しやすい気がして、様子を伺いつつも連絡したら、忙しい合間を縫って時間を作ってくれた。
小「だってそうやんか。あんなにバレバレやったのに、今の今まで好きって気付いてなかったんやで？ビビるわ」
『……そんなに？』
小「少なくともただの幼馴染みには見えてなかったで」
『あ〜……まあ、それはそうかもしれないですけど』
適当に頼んだ料理をつまんでいると、小島くんは「いつ告白するん？」と目をキラキラさせて聞いてくる。少年のような瞳で見つめられても……
告白かあ。そんなん考えたこともなかったな。
もしもせーちゃんが普通の人やったらしてたかもしれんけど、幼馴染みという関係性を壊すことさえ恐ろしくて出来ない私が、今や超売れっ子アイドルである彼に気持ちを伝えるなんて、そんなこと……
『できるわけないです、無理です……』
小「え！？何も言わんの？このまま！？」
『……はい』
小「待って、それは考え直した方がええわ」
『だって、』
今こうして小島くんを連れ出している時点であれやけど、今後もし両想いになれたとして……そこら辺を2人で歩くだけでも、それがバレたらとんでもない人たちに迷惑がかかる。もちろんせーちゃん本人にも。
それどころか、メンバーの皆さんにだって。
せーちゃんの大切なものは、私にとっても大切で。大袈裟かもしれないけれど、彼ら全員の未来を背負っていると言っても過言ではないと思っているから。
小「……Aちゃんがさ、俺らのことも考えてくれてるんは分かるし、それはめちゃくちゃ有り難いことやけど。俺的には、誠也くんだって幸せになる権利があるわけやし」
『しあわせに……それって、私がおらんくても、』
これ以上は言いたくなくて、言葉に詰まる。
そんな私を見て呆れたように笑った小島くんは、「アホか」と私の頭を優しく叩いた。
小「誠也くんは、Aちゃんがおらな幸せになられへんで」
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年5月16日 0時
