アプリコット《 Seiya.S 》 (ページ16)

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貴方.

『……失礼しまーす、』

「かっこよかったよ」「面白かったよ」

思いつく限りの感想を頭に思い浮かべながら、軽くノックをしてからドアを開けた。もちろんその全ては私の本音でしかないし、何ひとつとして嘘ではないけれど、本人に伝えるのには勇気がいる。

もちろん楽屋には知らないメンバーの方もいるわけで。恐る恐る顔を上げると、私の目の前には見慣れた2人がいた。

小「うわー！Aちゃんほんまに来た！」

佐「久しぶりやなあ！元気しとった？」

『わっ、……うん、おかげさまで。2人ともお疲れ様です、』

佐「え、なんか距離遠ない？もっとこっちおいでや」

『晶哉くんが近いだけちゃう……！？』

ライブ終わりやのに、何やこのパワフル加減は。アイドルっていうものは常日頃からこんなに元気なんかな……それは流石に違うと信じてるけど、2人はちゃんとキラキラしてる。

シャワーを浴びたばかりなのか、濡れた髪の上からタオルを被った小島くんと晶哉くん。その後ろには同じくお風呂上がりであろうメンバーの皆さんが、目を丸くさせて私を見ていた。

『あ……すみません、ライブ終わりにお邪魔して、』

小「皆紹介したるわ。この子は誠也くんの幼馴染みのAちゃんな。因みに俺の大学の後輩やから、まあ俺の友達みたいなもん」

リ「小島の友達は飛躍しすぎやろ」

正「そんな親しくないって顔見たら分かるけどな」

小「何言うてん！？俺ら仲良しなんやけど！なあ？」

『……あ、はい？』

福「こじけんの嘘バレたな」

以前小島くんが言っていた、「私はせーちゃんに関することなら完璧だ」という話もあながち間違いではなくて……過去に所属していたグループのことも知っているし、それこそなにわ男子の丈くんとはよく遊んでもらっていた。

つまり、メンバーの方の顔と名前はもちろん一致しているということで。それどころか、リチャードくんとは何度か会ったこともある。お互い人見知りやから、小島くんほど距離は縮んでないけど……

『リチャードくん、久しぶりやなあ』

リ「あ、覚えてんの？俺のこと」

佐「逆にリチャくんのこと忘れる方が難しいでしょ」

リ「まあそれはそやけど。A、元気やった？」

『はい、元気に大学生やってますよ』

福「まだ大学生なんや！誠也くんの幼馴染みやって言うから、てっきり年上かと……」

可愛い笑顔の福本くんに、私まで笑顔になる。