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貴方.
あれから、晶哉くんとは毎日のように連絡を取っていた。
「またご飯でも行こう」なんて話もしていたけれど、晶哉くんは毎日大忙しやし、とりあえずはメッセージを送り合う日々で。ゆったりとした会話が心地よくて、彼と話している間は他のことを忘れられた。
もちろん色んな悩みを忘れたいわけじゃないけれど、楽な方に流れてしまうのが人間というもので。
「あれ、Aもう帰るん？」
『んー、終電もあるから帰ろっかな』
大学の友達とご飯に来た帰り道、いつも通り通知が鳴る。
せーちゃんだって仕事帰りのはずやのに、どこから嗅ぎ付けたんか「いつ帰って来るん？」なんて連絡をくれる。大体私のお母さんから聞いてると思うけど、それにしたってもうすぐ22歳になる幼馴染みを迎えになんて来るやろうか。
やからこそ、不思議な気持ちになってしまう。
せーちゃんは、誰に対してもそういうことするん？とか。
「あかんって、Aさ、最近ええ感じの子おるんやろ？」
『へ？』
「ほら、その子が迎えに来るんちゃう？」
『え、や、……ちゃうよ！幼馴染みやって、いつもの』
「あー、あの怖い感じの？」
私の周りにはアイドルに詳しい人がおらんから、多分バレへんとは思うけど……せーちゃんは、私を迎えに来るときは大抵全身真っ黒とか、目立たない服装が多かった。もちろんマスクをしてたり、帽子を被っていたり、芸能人らしい配慮は怠らない。
ただびっくりしたのは、皆して晶哉くんとの関係を勘違いしてること。そんな風に話したつもりはないのに、頻繁に連絡を取る男の子ってだけで勘違いされてるみたい。
「それやったら幼馴染みのことも勘違いされへん？その子に」
『え？』
「そうそう、幼馴染みとは言え仲良すぎやもんな」
『……皆からしたらそう見える？』
「見える見える！」
「ただの幼馴染み迎えに来やんやろ」と笑った彼女は、私の肩をぽんぽんと軽く叩いた。何だか宥められているようでよく分からないけれど、周りから見たらそう感じるんかなあ……
どうしても考え込んでしまいそうになる中で、平常心を保つためにもふと顔を上げると、いつの間に到着したのか、少し先にせーちゃんがいた。
今日はお気に入りのパーカーを着て、サングラスをかけていた。いくら変装とは言え、余計にオーラダダ漏れなんやけど……
『あ、私もう帰るな！じゃあまた！』
何となく、皆に見せたくないと思ってしまった。
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年5月16日 0時
