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貴方.
末「最近どうなん？大学の方は」
『んー、まあまあ？』
末「楽しい？」
『そうやなあ……小島くん卒業してからは、ちょっとつまんないかも』
末「……なんやそれ」
微妙に顔を顰めたせーちゃんは、私の口から出たメンバーの名前が気に入らんのか、単純にどういう意味か分かってないだけなのか……彼の気になるポイントが分からへんもんやから、私もハテナしか浮かばへん。
せーちゃんと同じグループで、リーダーの小島くん。ほんまに偶然大学が同じで、なぜか私に気付いた彼に声をかけられてから、何となく交流が続いていた。
『今もたまに連絡してくれるねん、小島くん』
末「あいつしばく」
『……なんで！？』
末「人の幼馴染みに手出しよって」
『出されてないけど！』
せーちゃんの、たまに出るこういうのんも意味分からんし。
小島くんとはほんまにそういうんじゃないけど、私が男の子もおる飲み会にでも行こうものなら、めちゃくちゃ心配してくれたりする。実の母や父よりも。
「何時に終わる？」「迎え行くから言うて」「なあ無視したらほんまに怒るで」なんて、とんでもない数のメッセージが来たこともあった。
『……せーちゃん、心配性やなあ。なんもないのに』
末「お前が何もないって思ってても、相手は分からんやろ」
『そうかなあ……でも、小島くんはほんまにちゃうから』
末「何かされたら絶対言うんやで」
『分かった分かった』
単純に、本物の妹みたいに可愛がってくれてるだけなのは分かってる。何より彼はアイドルやし、幼馴染みというだけで周りがからかってくるようなことは何もなかった。
そこはちゃんと弁えてたのに、せーちゃんが時折見せる優しい眼差しとか、私を呼ぶ甘い声とか、まるで壊れ物を扱うかのように優しく撫でてくれる手とか、その全部が私を惑わせる。
私たちは、ちゃんと幼馴染み。
今までもこれからも、それは絶対に変わらないもの。
末「そうや、A今度の週末空いとる？」
『ん？空いてるけど』
末「買い物でも行こや、俺服見たいねん」
『全然いいけど、私で大丈夫？』
せーちゃんみたいにセンス良くないし……私がそう言うよりも早く、彼は「当たり前やろ」とでも言いたげな顔をして「Aと出かけたいねん」と私の頭に手を置いた。
末「久々にドライブでもしよや。な、約束」
『……うん、分かった』
小さな約束が、こんなにも嬉しいなんて。
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年5月16日 0時
