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貴方.
『……あ、おかえり？』
末「おお、ただいま」
『帰ってたんや、』
末「ついさっきな」
ふわりと揺れる金髪に、大きな瞳。彼が動く度に感じる甘ったるい匂いも、私にとっては全部が当たり前のもので。
私の幼馴染みの��せーちゃん��から、皆の��末澤誠也��になりつつある今日この頃。まあ昔からずっと末澤誠也やし、今更何言うてんねんって話なんやけど。
小さい頃から毎日一緒で、彼が隣にいない日なんてほとんどなかった。それは彼がアイドルになってからも変わらなかったけれど……最近はほんまにずっと忙しそうで、顔を合わせる機会も減りつつある。
それでも、彼は帰ってくると必ず私の前に現れた。
末「風呂入ってたん？」
『あ、うん。友達とご飯行ってて、さっき帰ってきたから』
末「……女の子？」
『うん？そうやけど』
末「そっか」
『せー……や、くん、は？』
昔は恥ずかしげもなく呼べたあだ名も、大きくなるにつれ照れくさくなってしまった。でも、長年染みついた癖のようなものは簡単にはやめられなくて……人前では「誠也くん」と呼ぶようにしてるけど、2人きりのときはその日による。
顔をくしゃっとさせて笑った彼は、「いつも通りでええやん」と私の頭を撫でた。
末「A、」
『……せーちゃんも、私のこと呼び捨てにしてるじゃん』
末「それはええやろ、距離近なったし。あ、ちゃん付けの方が好きなんやったらそう呼ぶけど？」
『や、いい！恥ずかしい！』
「いつまで反抗期やねん」なんて笑った誠也くん、もといせーちゃんは、いたって普通の顔で私の隣に座り直す。
そんなに近付かなくたって、ちゃんと声も聞こえるし、会話だってできるのに。せーちゃんが友達とか、それこそメンバーの人とか……付き合いが長い相手には距離感がおかしくなるのは、知ってたけど。
私が下手に大人になってしまったせいで、昔は普通だったこの距離感に、変に緊張してしまう。
末「今日はリハーサルしとったよ。明日はラジオやな」
『そっか、お疲れさま』
末「ありがと」
せーちゃんはまた私の頭を撫でると、「Aの顔見たら疲れ飛ぶわ」なんて笑う。
どうしようもなく甘い言葉も、そろそろ手加減してほしい。
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城田A
21歳(大学4年生)
末澤の幼馴染み
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年5月16日 0時
