りとるプリンセス《 Lil かんさい》 (ページ20)

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斗亜.

『んー、斗亜ちゃん。私にしてほしいことある？』

斗「え？」

『ほら、何か元気出ることとか……ちょっとでも楽になるんやったら、何でもしたるからさ』

斗亜からゆっくりと離れたAちゃんは、「言うてみ？」なんて優しく微笑んだ。

Aちゃんにしてもらいたいこと……そんなん数え切られへんほどあるし、そもそも1日じゃ足りひんけども。せっかくこんな風に言ってくれてるんやから、お願いしてみよかなあ。

でも、何にしよ。甘えるって言ってもなあ。もう既にベタベタに甘えとるし。

斗「うーん……」

『今やったら何でも買ったるよ？』

斗「それはいっつもやん！Aちゃん、斗亜たちに甘すぎやもん」

『そんなことないけどなあ』

斗「……なんか、もっと特別なことないかな」

考えようとしたところで、思わず欠伸をひとつ。

そういえば昨日はあんまり寝られへんかったなあ……最近寝付きが悪い気がする。気のせいかもしらんけど、睡眠不足は良くないし何とかせなあかんなあ。

目尻に滲んだ涙を拭うと、Aちゃんは何か思いついたのか「斗亜ちゃん！」と両腕を広げた。

『膝枕はどうでしょう！』

斗「……へ？」

『や、そんなんで癒されるとは思わんけど、ちょっとは寝れるんちゃうかなーと思って！ほらほら、』

斗「え、あ、まっ、」

『あかん？』

きゅるんきゅるんの瞳に見つめられたら、断れるわけもなく……ていうか斗亜からしたらご褒美でしかないし、断る理由もないんやけど。男としてのプライドとか、何となく踏み止まりたくなってしまった。

斗「じゃあ、失礼します……」

『ふふ、どうぞ〜』

斗「……そんな見られてたら寝られへん」

『かわいい寝顔堪能しとかなもったいないやん？』

斗「も〜、」

Aちゃんのほっそい脚を枕にしてしまうなんて、申し訳なさと不安でどうにかなりそうやったけど、案外平気なのか「重くないからな？」なんて笑ってくれた。

よくハグしたりするし、普段からよく知ってるつもりやったけど、やっぱりちゃんと女の子なんやなあ。ふわふわ柔らかくて、優しい匂いがして、おまけにあったかい。

なんかほんまにとんでもないご褒美をもらってるような……

『……斗亜やったら大丈夫よ、ゆっくり寝てな』

斗「Aちゃん、」

『おやすみ、私も大好きやで』

ずっとずっと離れたくない、そう思ってしまうのはワガママかなあ。