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風雅.
斗「……急ぐって言うてた割りに、時間かかってるよな？」
岡「うん……」
拓「ああもうあかん！俺追っかけてきていい！？」
琉「いや西村くんは順番まだやし、行くとして俺とかこたちゃんじゃないと」
大して叫び声が聞こえてこないせいで、拓哉の心配もピークに達する。怖がってるというより、ほんまにやばくて動かれへんのちゃうか……って気持ちになるんよな。分かる。
段取りとしては、このあと拓哉がお化け屋敷に入って終了。俺がリタイアしてるから、どのみち俺が最下位やねんけど。
それを分かっててもちゃんと挑戦しようとする、Aのそういう真面目でまっすぐなところは尊敬しかなかった。
風「……せめて迎えだけでも行ってくる」
岡「え、大丈夫なん……？」
風「反対側からやったら……すみません、ちょっとだけ大丈夫ですか？」
斗「ほんまにいける？斗亜行くで？」
風「……今は、俺が行かな」
「絶対」と付け足したら、皆はもう何も言わんかった。
怖いのはAも同じ、ていうか多分俺より不安とか恐怖と戦ってると思う。どこまで歩いても真っ暗な部屋なんて、暗いところが苦手な人にはしんどすぎるやろ。
意を決して出口から大股で足を踏み入れると、急ぎ足で進んだ先に何か物体が……
風「うわっ、……あれ、A？」
『……へ、え、なんで、ふうが……？』
風「いや、ちょっと、迎えに……」
何かぶつかったかと思えば、膝を抱えて蹲るAやった。この世の終わりみたいな叫び声が出る前に気付いて良かった……余計にビビらせてまうとこやったな。
あとちょっとで出られるようなところで、今にも泣きそうな顔してしゃがみ込んで。どんだけ怖いの我慢して耐えてん、そんなことを思ったらなぜか俺が泣きそうになった。
『……あー、ごめんな、なんか脅かされすぎて腰抜けちゃった！手貸してくれへん？』
風「ええけど、そんなんで立てる？」
『ん、大丈夫よ』
風「……嘘つけ」
俺のために無理してくれただけやのに、最後までこれなんやから。
どこにもやり場のない気持ちを持て余したまま、Aの前にしゃがむ。おんぶなんて、ずっとされる側やったけどな。
『……ふうちゃん、おっきなったな』
風「ふうちゃんやめて」
『ふふ、ありがとお』
「ここはカットしてくださいね」なんて、あっという間にいつものAに戻ってた。
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年3月14日 1時
