72. ありったけの愛を ページ22
貴方.
斗「……Aちゃん、何見てんの？」
『ん？まいジャニ！斗亜レギュラーやん？毎週録画して見てるんよ〜』
斗「ああうん、ありがとう……？」
『ふふ、斗亜のこのツッコミおもろい、すきやなあ』
特に面白かった部分を巻き戻してもう1度再生すると、斗亜はほんの少し照れくさそうに笑って「恥ずかしいから」とリモコンを握る私の腕を優しく掴んで下ろした。
いくら2人で出歩いても問題がないとはいえ、私たちの定番はお家デートになりつつある。それはもちろん私の家で……何をするでもなく、ドラマや映画を見たり、だらだら喋るだけの日だって存在する。
今日は、斗亜が到着する前から流していたまいジャニを再生したまま、本人を迎え入れたところやった。
『何かなあ、見慣れへん組み合わせや〜って思ってたけど、だんだん慣れてくるもんやね。真弓くんと斗亜が並んでるのん好きになったもん』
斗「うん？Aちゃん、そんなこと考えて見てたんや」
『まあ、私やって一応関ジュですから。後輩の成長は気になるやん？』
斗亜と琉巧がお兄ちゃんをしてる姿とか、あんなにちっちゃかったあっちゃんが、入所したてのちびっこたちに憧れられているところとか。
挙げたらキリがないほど新鮮なところはあるけれど、良い意味で世代交代が始まってるんやなあ、と。
斗「……なあ、」
『んー？』
斗「それやと、とあも普通の後輩みたいでいやや」
『……んも〜、ふふ、なあにそれ』
斗「分かってるやん、」
ようやく慣れてきたらしいタメ口も、斗亜が喋ると可愛らしく聞こえてしまって、どうしても笑ってしまう。だって幸せなんやもん、こんなに可愛い恋人がいて、時折可愛すぎる嫉妬までしてくれるんやから。
あっという間にリモコンを奪われて、斗亜は私の手を握る。
そうこうしているうちにもまいジャニは進んでいくし、画面の中におる斗亜はニコニコの笑顔でMCを続ける。その一方で、私の目の前にいる斗亜は、小さな子供みたいな表情を浮かべた。
『……こっちの斗亜ちゃんはまだまだ子供やねえ』
斗「もー！何でそんなこと言うん！」
『可愛いんやもん』
斗「Aちゃんの方が可愛いし」
『それはありがとう？』
斗「何で信じてくれへんの！」
むっと唇を尖らせて、「世界で1番可愛いのに」なんて、こっちがしにそうやからやめてほしい。
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年2月8日 0時
