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貴方.
斗「一応、とあはタイミング見計らってました」
『……うそやん、そんな、ずっと？』
斗「そりゃあそうでしょ！彼女にキスしたくないわけないやん」
『か、かのじょ……』
斗「あ、響くんそこなんですね！？」
何やかんやええ雰囲気やったのに、完全にそうはならへんあたりが私たちらしいというか。
体勢を崩した私の手を引いて、また向き合う形になる。流石に斗亜が私の上におるのは、心臓に悪いかも……そんなことを思いながらも、しれっと私の頬に手を添える彼のせいで、心臓は爆発寸前やった。
舐めとった。斗亜やってちゃんと男の子やのに。
いつまでも赤ちゃんみたいに思ってたらあかんって、分かってたつもりでも、私はそれに行動が伴ってなかったんやと思う。
斗「Aちゃん、」
『あ、はい……！』
斗「とあ、めっちゃAちゃんのことすきです。今も変わらず」
『それはもう……ありがとう、私もやけど』
斗「ちゃんと言葉にしてほしいなあ」
『……好きやで？私も、』
こうして確認されると照れくさいけど、想いは言葉にせなあかんって言うしな。そこは斗亜を見習わないと。
未だに熱いままの頬を、斗亜が優しく撫でた。何だかそれがとてつもなく大人っぽい仕草に見えて、逃げ出したくなったけれど、この何とも言えないむず痒い空気ですら愛おしく感じられてしまう。
もどかしくて、じれったいけれど、たまらなく好きで。
斗亜に踊らされるのなら悪くないかもしれない。いや、多分私が勝手に踊ってるだけなんやろうけども。
斗「Aちゃん、肩の力抜いて、深呼吸しましょう」
『……うん、する』
斗「へへ、かわいい。じゃあ次は、目閉じて？」
『はや、……深呼吸から本番、はやない？』
斗「こういうのはスピード感が大切ですから」
『……なるほどなあ？』
私の緊張を解くのが、やたらと上手くなった気がするけれど。
ゆっくりと目を閉じれば、ソファが小さく揺れて、さっきよりもっと近くに斗亜を感じる。意識せずとも瞼に力が入って、投げ出したままの手をぎゅっと握り締めた。
恐らく斗亜のふわふわの髪が頬に触れて、くすぐったくて。鼻を掠めた甘い匂いに、肩の力が抜けた。
お互いお風呂上がりやから、初めてのキスはちょっと乾燥してた、と思う。
『……リップ塗るん忘れたあ、』
斗「あ、とあも！」
『あかん、塗るからもっかい、』
斗「……斬新な誘い方やな」
『へ、……ちゃうけど！？』
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年2月8日 0時
