62. 朝焼けに包まれて ページ12
斗亜.
斗「……寝れるわけないやん」
ベッドの中に引っ張り込んだ張本人であるAちゃんは、そんな葛藤なんて知るわけもなく、ぐっすり熟睡中。斗亜の肩辺りにピッタリと頭をくっつけて寄り添ってきて、何というか小さい子みたいで可愛い。
ぐるりと体を回転させて、仰向けからうつ伏せの体勢になる。まあもう寝られへん気しかしてないから、晶哉に連絡しとこっかな。
何か変な感じやなあ。ほんまに寝る前にスマホいじってる感覚やのに、隣でAちゃんが寝てるし。お家まで送ったり何やかんやしてるうちに、もう割りと朝みたいな時間になったから、窓の外も若干明るくなってるし。
斗「……お泊まりしたら、こんな感じなんかなあ」
緊張で寝られへん斗亜とは反対に、Aちゃんはすぐに寝てしまったりして。同じ気持ちでおってくれたらええのに、そんな簡単に自信は持たれへんから。
とりあえず晶哉にメール送ったけど、時間も時間やからそんなすぐに返信はないと思う。溜まっていたメールチェックを終えて、特にやることもなくなってから電源を落とすと、そこでやっと軽い眠気がやって来た。
『うあ〜……頭いた……なんやこれ……』
斗「Aちゃん？」
『きもちわる……へ？』
やけにハッキリした寝言やなあとは思ったけど、寝言ちゃうかったみたい。
頭に手を当てたAちゃんは、斗亜の姿を確認すると、勢いよく飛び起きた。絵に描いたように布団が吹っ飛んで……あ、ダジャレとかそんなんちゃうねんけど、それくらいほんまに綺麗に飛んで行ったな。
壁に背中をくっつけて、それどころかめり込むんちゃうかってくらい距離を取られる。そんなに驚く……か、そりゃそうよな。
『え！？なん……いったあ、頭に響く……』
斗「大丈夫ですか……？Aちゃん、一旦落ち着いて」
『落ち着けるわけ……あかん、ほんまにガンガンする……』
斗「……どんだけ飲んだんですか？』
頭を抱えて蹲ってしまうものやから、流石に不安になる。聞いたところでどうにもならんけど、飛んで行ってしまった布団をAちゃんの肩にかけると、振り絞ったような声で「ありがとう」と返ってきた。
『普段こんなにハイペースで飲まんから……ほんまに、嘘はついてないねん、こんなんなるまで飲むことなくて……ごめんなあ、』
斗「ええ、何で謝るんですか」
『だって、ぜったい迷惑かけたやん……』
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2023年2月8日 0時
