33. ページ33
貴方.
佐「あらら、Aちゃん顔真っ赤やで」
『……誰のせいやと思って』
佐「え？斗亜やろ？」
『元を辿れば晶哉も関係してるやろ！』
白々しい顔をした晶哉が戻ってきて、入れ違いのように斗亜が仕事で帰って行った。午後からオフというのは私を納得させるための嘘やったらしく、ほんまはラジオの収録があるとか何とか。
佐「で、どうなったん？」
『……どうにもならんわ！そんな、急に言われても困るし』
佐「急でもなかったでしょ？じわじわ攻められてたやん」
『やとしても言葉にして好きって言われたら、何かこう……上手く答えられへんもんなの！晶哉知らんやろ、私あんま恋愛経験ないねん』
佐「あ、それは誠也くんに聞いたから知ってるけど」
『あの人は何を勝手に話してんの！？』
佐「恋愛経験ない言うても、Aちゃんモテるやんか。好きって言われる経験くらいあったやろ？」
『それは、』
あったとしても、あんまり話したことない人とか、名前と顔しか分からん人くらいで。
というか、告白されたくらいでそれが恋愛経験として蓄積されるわけでもなし。ただただ年齢の割りに恋を知らないままで、いざそういうときにどう対応したらいいのか、まるっきり分からなくなる。
『……どうでもいい人やったら、ごめんなさいって言えるよ。まだ貴方のこと何も知らないんで、って』
佐「うん、」
『でも、斗亜は……大切な後輩やし、よく知ってる子やから』
佐「……同情？」
『や、ちゃうけど……でもほんまに、そんな簡単には決められへん』
頬に残って消えない熱が、何よりもの答えなのに。
素直になってしまうのが怖くて、いざ形のない幸せを掴もうとすると、足がすくむ。こんなの、誰に言ったって理解してもらえないんやろうけど。
同情とかそんなんもちゃう。ほんまに優しい晶哉にそんなことを言わせてしまった、私の曖昧さに苛立ちが募るくらい。
佐「今だけは、Aちゃんの後輩の佐野じゃなくて、1人の男の佐野として言わせてほしいんやけど」
『うん、』
佐「迷ってる時点で斗亜のことめっちゃ大切やし、大切やから適当には対応できへんのよな？」
『……うん』
佐「やったらもう、次会ったときそうやって伝えてあげようや」
『晶哉はそうした方がいいと思う？』
佐「俺がってより、多分Aちゃんがそう思ってるんちゃうかな」
後輩の成長は、何というか早すぎる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 561人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流星(プロフ) - 優さん» 優さん、コメントありがとうございます！(^_^)この2人が本格的に付き合い始めたらどうなるんだろう、そんなことを考えながら楽しく書きますので、これからもよろしくお願いいたします！♡ (2023年2月11日 19時) (
レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - ちいさん» ちいさん、いつもありがとうございます！私も同じく2人のこれからを書きたい気持ちでいっぱいになったので、今後も細々と続けていきますね！これからもよろしくお願いいたします！(^_^) (2023年2月11日 19時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - めぐさん» めぐさん、いつもありがとうございます〜！もう書きたすぎてしれっと続編を追加させていただいたので、読んでいただけたら嬉しいです♡これからもよろしくお願いいたします！ (2023年2月11日 19時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 毎回楽しみで、また1回リピってます。初々しい2人のその後の展開も気になります。楽しみに待ってます。 (2023年2月5日 10時) (レス) @page50 id: 1a5286a738 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 初々しくてかわいい2人もっともっと見たいので続編も楽しみにしてますね(๑>◡<๑) (2023年2月4日 23時) (レス) @page50 id: dd60ea8e42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2022年11月23日 19時
