85. ページ35
貴方.
『……ん、』
まだほんの少し暗い部屋の中で、やけに冷たいシーツの感触に目が覚めた。
それでも、首の辺りには人の温もりを感じる。……それもそのはず。そっと横を見やれば、穏やかな顔をして眠る良規くんがいた。温もりの正体は彼の腕で、腕枕をされていたらしい。
彼の胸元にそっと身を寄せれば、はかったようなタイミングで抱き締められる。
不思議に思って顔を上げると、目を細めて笑う良規くんと目が合った。「おはよう」なんて微笑むけれど、それにしてもまだ早い時間だと思う。
『……おはよう』
正「しんどくない？大丈夫？」
『うん……変な感じ、やけど』
正「そうやんなあ。水飲む？」
『ん、飲みたい、』
こういうときはよく甘えろって、どこかで聞いたことがある。
何だったっけ……甘えろ、じゃなくて、甘えさせてくれる男を選べ、だっけな。相手を思い遣って優しくしてくれる男が良いんだよ〜みたいな、そんな話を聞いたことがある気がする。
だとすれば、献身的にお世話をしてくれる彼は百点満点の彼氏なんだろう。知っていたけど。
ペットボトルを持って帰って来た良規くんは、ジャージのズボンしか履いてなくて、何となく目を逸らした。
夏のコンサートに向けて仕上げているらしい腹筋はやっぱり綺麗で、嫌でも意識してしまう。ほんの数時間前まで見てたやんなんて言われたら、しゃあない話やねんけど……
『あり、がと……』
正「ん、どういたしまして。他にしてほしいことある？」
『今はいいかなあ、』
正「そっか」
眠っている間に身なりを整えてくれたのか、彼のTシャツが着せられていた。昨日洗ったばかりのそれからは、我が家の柔軟剤の香りがする。
服は着ているからと、遠慮なく起き上がってペットボトルに口をつけた。心配しているのか、彼は私の一挙一動に注目していて。とりあえず水を飲めることに安心したのか、私の隣に腰をおろした。
正「ごめんなあ、結構無理させたやろ」
『え？……あー、どうなんやろ。無理してたんかな、比較するものがないから分からんというか、』
正「……それはさ、男的には喜んじゃう発言やねんけど」
『え、……面倒くさくない？』
正「どこが？！」
「俺しか知らんねやろ」と呟いた良規くんの耳は赤くて、何だか私までつられそうになった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1009人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Aぇ!group」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流星(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん、コメントありがとうございます(^_^)本当ですか！嬉しいです〜！中々詳しくは書けませんでしたが、ちょっとだけリアクションも書いてみたのでお楽しみください(^_^) (2022年9月12日 22時) (
レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新ありがとうございます！！誌面見たメンバーの反応とから色々想像してしまいました…！！もうすごいリアルできゅんきゅんしてます！ (2022年9月3日 7時) (レス) id: 65e54d60d7 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - 永瀬れみさん» リクエストありがとうございます！承知いたしました(^_^)更新いたしますので、暫くお待ちくださいね！ありがとうございます(^_^) (2022年7月12日 23時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
永瀬れみ(プロフ) - いつもドキドキしながら読んでます。リクエストお願いできたらと。ストーカーか襲われそうになるシーンみてみたいです！正門くんなかなか連絡つかない感じで。もしできたらお願いします！ (2022年7月7日 5時) (レス) id: 6b11212a22 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - ふうさん» ふうさん、コメントありがとうございます！そして本当にたくさんのアイディア、助かりました…（ ; ; ）意味もしっかり捉えつつ、少しでも良いお話が書けるよう頑張ります！これからも応援よろしくお願いいたします！(^_^) (2022年6月25日 16時) (レス) @page29 id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2022年6月1日 1時
