84. 初心 ページ34
貴方.
目の前がチカチカと瞬いて、また現実に戻るような感覚。
ふわりと抜けかけた意識を必死で掴んで、力んでしまう私を優しく宥めてくれる良規くん。浅くなっていた呼吸が戻ってくると、彼は何も言わないけれど、優しく微笑んでくれた。
全てが分からないことだらけで、初めてしかなくて。それでも穏やかな愛情だけは確かにここにあって、包み込まれるような温もりが心地いい。
すぐにでも飛んでしまいそうな意識の中で、ふと今までのことを思い出す。
どれだけ近い存在になっても、何だかずっと夢みたいだった。突然シャボン玉みたいに弾けて消えて、「全部嘘です！」なんて言われても納得できるような、非現実味。
私の隣で優しく微笑む彼は、いつかいなくなってしまうんじゃないか、なんて。
表現が難しい不安と焦りのようなものが、ずっと胸の辺りで凝り固まっていた。
その度に「好きやで」と私の気持ちを解してくれる彼が、大好きで、大切で。たまらなく愛おしくて。
私からも何かしてあげられないかなあなんて、ずっと悩んでいた。
正「A、……大丈夫？」
無意識のうちに滲んでいた涙が、そのまま頬を滑り落ちていく。火照った頬を冷やしてくれるかのような、いつもよりひんやりと冷たいそれは、シーツに広がって染みを作った。
恐らくこれは、生理的な涙であって。悲しいとかそんなものじゃないけれど、いくら呼吸をしても潤うことのない喉のせいか、上手く言葉を紡ぎ出せない。
何も言えずにただ見つめるばかりの私を不思議に思ったのか、彼は緩やかに動きを止めて、乱れていた前髪を撫でつける。
伝えたいのは、涙の理由じゃなくて。
どこかずっと空っぽだった心が満たされたことを、今すぐにでも伝えたい。
『……しあわせやなって、泣いちゃった、』
正「A、」
『選んでくれてありがとう、……幸せだよ、私』
いつの間にかすぐ近くにいた彼に、精一杯の愛を込めてキスをする。今思えばこれだって、全部良規くんが教えてくれたことで。
触れるだけなのに、私はまだまだ下手だけど……どうか愛情だけは伝わりますように。寧ろ、それだけ伝われば及第点を貰えるんじゃないかな、なんて思ったり。
何とも言えない顔をして笑った彼は、「そんなん言われたら優しくできへんくなる」と、私の頭を撫でた。
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流星(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん、コメントありがとうございます(^_^)本当ですか！嬉しいです〜！中々詳しくは書けませんでしたが、ちょっとだけリアクションも書いてみたのでお楽しみください(^_^) (2022年9月12日 22時) (
レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新ありがとうございます！！誌面見たメンバーの反応とから色々想像してしまいました…！！もうすごいリアルできゅんきゅんしてます！ (2022年9月3日 7時) (レス) id: 65e54d60d7 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - 永瀬れみさん» リクエストありがとうございます！承知いたしました(^_^)更新いたしますので、暫くお待ちくださいね！ありがとうございます(^_^) (2022年7月12日 23時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
永瀬れみ(プロフ) - いつもドキドキしながら読んでます。リクエストお願いできたらと。ストーカーか襲われそうになるシーンみてみたいです！正門くんなかなか連絡つかない感じで。もしできたらお願いします！ (2022年7月7日 5時) (レス) id: 6b11212a22 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - ふうさん» ふうさん、コメントありがとうございます！そして本当にたくさんのアイディア、助かりました…（ ; ; ）意味もしっかり捉えつつ、少しでも良いお話が書けるよう頑張ります！これからも応援よろしくお願いいたします！(^_^) (2022年6月25日 16時) (レス) @page29 id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2022年6月1日 1時
