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貴方.
小「……で？何をまたややこしいことしてんねん、お前は」
『ちょ、あかん、動かんとって！』
小「壁扱いすんなアホ」
どうやら私の方が先輩と言うことをすっかり忘れているらしいけれど、それはこの際どうでも良かった。小島を盾にして、大ちゃんと話す正門くんから死角になるポジションを確立する。これで大丈夫やろ……多分。
大ちゃんの話を聞いてから、そう簡単に決断することはやめようと思った。けれど、どこか気まずくて。もちろんさっき適当に挨拶はした。それでもしんどくて、目は合わせられなかったけど……
佐「良いんですか？せっかく会えたのに」
『うーん……そやねんけどなあ。私の気持ち的な問題？』
小「歳取ると面倒なことばっかやねんて、晶哉」
『一歳しか変わらんからな、あんた』
小「俺はそんな悩まんもん。好きなら好き！嫌いなら嫌い！それ以外に何があんねん」
『……はあ、私も小島みたいになれたらな』
苦笑いのような表情を浮かべた晶哉は、「Aちゃんまで小島くんみたいになったら困りますよ」と私を諭した。まあ、そうやねんけどねえ……マインド的な？これこそ男女の差かもしれないけど、小島みたいに白黒ハッキリさせられる性格が良かったかも。サッパリしてるというか、何と言うか。
小島の背中から顔だけを出して、そっと正門くんの横顔を見つめる。前に会ったときは黒髪だったけれど、今は明るめの茶髪。首筋の汗を拭う仕草とか、目を細めて笑う癖だとか、全部全部大好きなのに。
福「……そんなに見てるんやったら、話しかけたらええのに」
『うわっ、……たいちぇ！お疲れ！』
福「おお、ありがと！……ちゃうちゃう、そんな話しに来たんちゃうねん。まっさんとちゃんと話しや？せっかく会えたんやから」
『うん……やっぱそんなに分かりやすい？私』
小「誠也くんとリチャくんも心配しとったからな。いっつも正門正門しか言わんのに、って」
『そんなでもないんやけど……』
まあでも確かに、さっきすれ違った風雅にも「正門くんと一緒ちゃうんすか？」って聞かれたけど。そんな四六時中そばにおるわけちゃうのに……そう不思議に思いながらも、「恥ずかしいなあ」と呟いた。
そりゃ喋りたいし、今日のかっこよかったポイントも伝えたい。新曲めちゃくちゃ良かったし……それは皆にだけど。
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