動き出せ、初恋《 Yoshinori.M 》 (ページ33)

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33. 悲願ページ33

貴方.

『……ひっどい顔、』

大「Aも大概やで」

『女の子になんてこと言うねん』

人間って本当に驚いたら、声も出ないのか。

そう思ってしまうほどには、今日行われたデビュー発表が衝撃的で……泣き崩れるメンバーを横目に、私だけ時間が止まったような感覚だった。もちろん、私がいても良いんだろうか、という気持ちはまだ拭いきれていない。「泣かなかった女」認定されたって仕方ないほどに、呆然と立ち尽くしていたと思う。

それでも、裏に捌けてから一人一人とハグをして、大倉くんに「おめでとう」と声をかけてもらって……そこでやっと実感が湧いてきた。

デビューするんや、……私、皆とデビューできるんや。

『全然泣いてなかった奴が後半から目真っ赤って怖ない？』

大「まあびっくりはするよな、皆』

『ほんでりとるがあんなに頑張ってるの見たら、普通我慢できへんやん……』

大「一人だけ母親目線なってたから(笑)」

なにわ男子のデビュー発表を受け、西村や斗亜が泣きながらパフォーマンスをしてくれた。「俺たちが引っ張るぞ！」なんて決意表明までしてくれて……泣くなと言う方が酷だと思う。皆より泣き始めるのが遅かったせいか、昼公演の後半のビジュは最悪な気がする。

まあ、そんなこんなで夜公演も無事に終え、ホテルの大ちゃんの部屋でしみじみ……なんて時間を過ごしていたけれど、アドレナリンが切れて、一気に疲労が来ている感覚だった。

大「……まあ、改めておめでとう」

『大ちゃんもおめでとう、』

大「はあ……ほんまに？ほんまにデビューするん、よな？俺ら」

『これで嘘やったら人間不信なるわ……』

大「いやほんまそれやで。あ〜、でも信じられへん……」

目元を両手で覆ってしまった大ちゃんは、「Aと一緒にデビューできてよかった」と呟いた。……何や、また泣いてるんか。そんなこと言われたら私まで泣けてくるし、もうぐずぐずになってしまってあまり上手く喋れない。滑舌も悪くて、呂律が回ってない気がする。

『……わたしも、ほんまに良かった』

大「ほんまやって……ここまでどんだけ怖かったか、」

『大ちゃんもそんな風に思ってたんや……？』

大「当たり前やろ、Aはほんまにずっと放っとかれへんし」