動き出せ、初恋《 Yoshinori.M 》 (ページ31)

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貴方.

流「泣くんなら明日に残しといて！何かあったときAだけ泣いてなかったらそれこそ話題なってまうで」

『うわ、それはまずい……今度は冷酷とか言われかねへん』

大「それはそれでおもろいで、A」

『もし記念すべき日になったとしたら一生＂泣かなかった女＂って言われんねやろ？嫌やわ(笑)』

流「泣かなかった女はあかん、じわる」

可愛い顔には似ても似つかない声で笑う流星にも、もうすっかり慣れてしまった。そうこうしている内にマネージャーさんから「ホテル戻るで〜」と声をかけられ、三人で外に停められている車に乗る。分けて送迎してくれてたみたいやな。

二列目に座ると、私の隣には大ちゃんが座って、三列目の真ん中に流星が座った。私たちの間から顔を出した流星は、「なあなあ」と口を開く。

『どしたん、今日よぉ喋るやんか』

流「俺もちょっとふわふわしてるかもな〜。いやさ、Aに聞きたいことあって」

『流星が私に？そんなんある？』

流「まあ人並みに興味はあるかな」

『人並みかい』

ボケるのは程々にしておいて……流星が「これ」と見せてきたのは、お花の写真。それが何を表しているのかは、パッと見てすぐに理解できた。……これ、卒業式の日に正門くんからもらった花束や。多分私がブログにあげた写真だけど、流星がわざわざ保存するって何でやろ。

心なしかニヤニヤと笑っている流星は、「誰からもらったん？」と首を傾げる。

『……ともだち、』

流「え〜、A言うてたやん。後輩とそんな関わりないから、花束とかもらわれへんって」

『何でそんなこと覚えてんの……』

流「やから俺たちでお花あげたやん？やけどまた違う花束載せてるから、ずっと気になっててさ」

『皆からのも載せたで？』

流「ほんまに友達からもらったんやったら話逸らさんでええやん！」

大「……も〜、流星に言い負かされてるやん(笑)」

「何もやましいことないなら隠さんでええやんか」と笑った大ちゃんは、恐らく確信犯。そうなると一旦「友達」なんて濁した私は、やましいことがあるみたいになるやん……心の中で文句を言いながらも、流星の大きな瞳を見つめ返す。

『正門くんにもらったの、卒業おめでとうって』

流「へえ〜……？」

『うわもう、反応がだるい！』