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貴方.
『うわ〜……めっちゃ綺麗……』
正「大吾に連れてきてもらったことあんねんけど、Aにも見せたいなって」
『ええ、そうやったんや……めっちゃ嬉しい、ありがとう！』
「どういたしまして」と笑う正門くんは、温かいココアの缶を渡してくれた。二人で小さなベンチに腰をおろすと、目の前に広がる夜景をじっと見つめる。遠くに見える光が滲んで、広がって……柔らかい輝きを放った。こんなに綺麗な夜景、生まれて初めてかも。
好きな人と見るものは全て特別に見えるんだろうなあ。そんな気がしてしまうくらい、正門くんと見る夜景は本当に綺麗だった。
正「……大人になったんやね、Aが卒業って。早ない？つい最近受験してなかったっけ？」
『それ皆言うよな、私も思ったけど！』
正「頑張って勉強してたイメージが強いんよなあ」
正門くんはコーヒーを片手に、「よぉここまで頑張ったな」と私に笑いかける。缶コーヒーやのに、ここまで絵になってしまうと逆にむかついた。若干素っ気なかったかもしれないけれど、「ありがとうね」と伝えれば、いつもの嬉しそうな笑顔を見せてくれる。
正「……周りの子は普通に就活とかしてて、しんどかったときもあるやろ？」
『うーん……どうなんやろ。不安やったけど、就活してる皆の方がしんどかったやろうし』
正「それはそうやなあ。でも……何やろ、一人だけちゃうことしてるのも、結構勇気いることやん？」
『……正門くんはそう考えてくれるんやなあ。何かちょっと嬉しいかも』
正「まあ俺は基本Aの味方やからなあ」
彼の言葉が、胸にじんと響く。何気ない「味方」というワードは、今の私には何よりも嬉しくて。一人じゃないんだなって、当たり前だけどそう思える。
彼は、持っていた紙袋から何かを取り出すと、私の前に差し出す。……白色のお花をメインに作られた花束には、ところどころ薄いブルーのお花が挿し色として入っていた。
『わあ、お花……！ありがとう、くれるの？』
正「まあ卒業やしなあ……クサイけど、受け取ってよ」
『何で！めっちゃくちゃ嬉しいで！ありがとう！』
甘い香りのするそれを受け取れば、正門くんは優しい顔をして笑った。「卒業おめでとう」と呟いたかと思えば、優しく頭を撫でられる。
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