動き出せ、初恋《 Yoshinori.M 》 (ページ9)

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9. 別離ページ9

貴方.

大「いや〜……まさかこのメンバーで組むとはなあ」

丈「何も分からんかったな、予想とかもできへんかったし」

和「確かにそやなあ、ほんまにびっくりした！」

年上組のしみじみとした会話に、年下組が頷いて応える。私は……本当に何も言葉が出てこなくて、ただただ空っぽの頭をフル回転させて、今の状況を理解しようと努めていた。きっと怖い顔してるんやろうなあ、隣に座ってるみっちーがめちゃくちゃ不安そうやもん。

それでも上手く笑えないのは、何となく今の自分が置かれているポジションが、身の丈に合っていないと思うからであって。

大「……A？大丈夫？ぼーっとしとるけど」

『あ……うん、大丈夫』

和「大学忙しいんやっけ……？無理せんとな」

丈「レポートとかなら相談乗れるから、いつでも聞いて来たらええよ」

『ありがとう、二人とも』

20歳になって、大学ももう2年目。忙しいのはそうだけれど、もうすっかり慣れたから、上手く力を抜くことだって出来ていた。確かに最近、スタッフさんからスケジュール管理について色々と言われていたけど……まさかグループに選抜されるからとは、夢にも思わなかった。

＂なにわ男子＂というグループのメンバーに選ばれて、立ち位置は大ちゃんと同じセンターポジション。徐々に露出を増やしていたから、関西のファンの方には覚えてもらっていたけど……それにしたってセンターは突然すぎる。こんなの、良く思わない人は何人もいるだろう。

メンバー全員で初めて行った食事会は、驚くほどに何の味もしなくて。何を食べたのか、何を飲んだのか、そして何を話したのか……どれも覚えていない。

ぼんやりとする頭のまま解散して、家路に着く。ふらっふらの私を見兼ねてか、大ちゃんは「家まで送る」と私の背中を支えてくれた。

『ありがと……』

大「いや、そんなん見たらそら心配なるよ。大丈夫？……グループ組んだの、嫌やった？」

『違う、それは違うねん、』

嫌なわけがない。これから先、一緒に支え合ってくれる仲間ができたんだから……ジャニーズになった以上、グループで活動することにかなりの憧れを抱いていた。嬉しくて仕方ない、本当はそうだけど、

……何となく、私がグループに所属するときは、隣に正門くんもいると思っていた。