121. 触れた指先 ページ21
恭平.
高「A？顔真っ赤やけど大丈夫？水飲んでる？」
『……うーん、うん、飲んどる、へーき……』
高「いや絶対嘘やんか、待って」
ふらふらと頼りない足取りで座り込んでしまったAは、そのままペットボトルの蓋を開ける。いつもならすぐ開けられるはずやのに、今日はやけにもたついて……「あれ？」なんて首を傾げるもんやから、一旦俺が開けてからまた渡すと、「ありがとぉ」と笑った。
何か滑舌悪い気するし、汗もいつもより酷いような……気のせいかなと思ったけど、水分補給を終えて立ち上がったAが俺の方に倒れ込んできて、やばいやつや、とすぐに理解する。
高「A、熱中症とかなってんちゃう？俺のこと分かる？」
『……ん〜、きょうへ、』
高「分かるんか、良かった……あ、丈くん！熱中症のときってどうすればええんやっけ！」
少し離れたところで休憩していた丈くんは、Aを抱える俺に気が付いたのか、「あんま頭揺らさんと横にさせろ！」と指示を出してくれる。その声に散らばっていたメンバーたちが集まってきて、大橋くんはスタッフさんを呼びに行ってくれた。
自分のバッグを片手にやって来た大吾くんは、「これ足の下に入れて、足の位置高くせなあかんねん」と教えてくれる。
大「そうそう、ほんで脇の下とか首とか冷やして……スポーツドリンクとかってありませんか？」
「あ、廊下の自販機にあるかも、」
長「じゃあ俺買ってきます！」
道「長尾、俺も手伝う」
流「じゃあ俺と大ちゃんで保冷剤貰いに行こ」
大「うん、行こか。丈くんと恭平で見ててくれる？」
「もちろん」と頷けば、それぞれの役割をこなそうと走り出す。こういうときのチームワークって凄いな……なんて一人で感動していると、Aが「ごめん……」とか細い声で呟いた。Aのこんな声聞いたん、ほんまに初めてかも……
額に貼り付いた前髪を流してやると、小刻みに震える小さな手が、俺の服を握った。
高「A、」
丈「……手握ったりや。不安なんやろ、多分」
高「え、……ああ、そっか。大丈夫やからな、A」
『ん〜……』
丈「頼られてるやん、恭平」
高「……え」
丈くんはニヤリと笑って、「良かったな」と俺を小突く。まあ、喜んだらあかんのやけど……やっぱりちょっとだけ、嬉しいかも。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2051人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「なにわ男子」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
流星(プロフ) - とあさん» とあさん、リクエストありがとうございます！承知いたしました(^_^)少々お待ちくださいね〜！ (2022年7月3日 21時) (
レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - miuuさん» miuさん、ありがとうございます！楽しんでいただけて光栄です（ ; ; ）これからもよろしくお願いいたします！ (2022年7月3日 21時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - すずはさん» すずはさん、リクエストありがとうございます！承知いたしました(^_^)少々お待ちください！お気遣いありがとうございます（ ; ; ） (2022年7月3日 21時) (レス) @page32 id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
とあ(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいてます！もしよければみっちーに甘えられるお話が見たいです！！よろしくお願いします！ (2022年6月27日 21時) (レス) @page32 id: 4c9697112e (このIDを非表示/違反報告)
miuu(プロフ) - 流星さん» リクエストお答えいただきありがとうございました(^^)今回もすごく良かったです＾＾ (2022年6月21日 23時) (レス) id: 873d5aad14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流星
| 作者ホームページ：https://twitter.com/sst__05
作成日時：2022年4月26日 23時
