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貴方.
椿「……角崎さんに話したのは僕だけど、まさか本当に仲良くなっちゃうとは思ってなかった」
『仲良く……は、なってないよ？！絶対私の反応見て楽しんでるだけだと思う！』
椿「……そうかなあ、」
『椿くんの方が、角崎さんとは長い付き合いでしょ？分かるんじゃない？そういう人って』
椿「まあ……うん」
何を必死になって誤解を解いているのか分からないけれど、椿くんが思うようなことは少しもない。私に対して「綺麗」だとか「美しい」と褒めてくれるのは、何と言うか……コミュニケーションを円滑にとるため？みたいな？？分かんないけど。
それに、職人さんは女性に優しい人が多いと思う。有名ホテルで働く角崎さんのことだから、レディーファーストとか徹底してそう！間違いない！
『今後もお世話になるかもしれないけど、私が鹿楓堂から離れることはないから。ね？』
椿「……ん、それなら良いよ。ありがと、」
『ううん、そんなのこちらこそ！必要としてもらえるのって凄く嬉しいな』
椿「それはちょっと分かる」
水分を含んだ赤茶色の髪を、タオルでゆっくりと拭き取る椿くんと目が合う。「どうかした？」と首を傾げれば、光の速さで目を逸らされて……
椿「……別に、何もない！」
『そう……？あっ、お茶でも飲む？スイくんから水出し緑茶の仕込み方教わったんだけど、もう飲み頃なはずだから！』
椿「じゃあお願いしようかな。……あ、ご飯まだでしょ？用意してあげる」
『え！寧ろ助かっちゃうな……ごめんね。ありがとう！』
椿「ううん、今日までお疲れ」
『椿くん……！』
恐らくときたかくんが作ってくれた晩御飯を、慣れた手つきで温めてくれる。なぜか私が労われる立場になってしまったけれど、とりあえず今は緑茶に集中して……お風呂上がりでもサッパリ飲めるから、スイくんには感謝してるんだよね。
パパッと準備をして席に着くと、先に座っていた椿くんが緑茶を飲んだ。「上手じゃん」と褒めてくれたそれは、私が淹れても美味しく仕上がっていた。
『うん、上出来かな！ありがとね、椿くん。いただきます』
椿「うん……あのさ、」
『ん〜？』
椿「……次の休み、カフェでも行かない？」
『へ……』
一向に合わなかったはずの視線が、こんなときだけ合うものだから……逃げ場がなくて。
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