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貴方.
『はぁ……披露宴かぁ、』
久しぶりにお花のカタログを引っ張り出してきて、チェックしてしまうくらいには乗り気なんだと思う。だけど……角崎さんに見せてもらった会場の写真は、担当したことがないほど広かった。私一人で仕切れるキャパなんだろうか。うーん。
やってみないと分からないことだけれど、初めの一歩が怖いのもまた事実であって。
ス「随分と悩んでるねぇ……角崎さんのこと？」
『うん、そうなの……長期契約でないにしても、あのイーストサイドグランデって……何か怯んじゃって』
と「格式高い会場でしたもんね……ホテルウェディングとなると特に」
『そう！問題はそこなの！……ゲストハウスなら自由度も高いけど、ホテルとなるとなあ、』
リビングで悩んでいる私を見兼ねてか、スイくんがお茶を淹れてくれた。隣からカタログを覗き込むときたかくんも、角崎さんから会場の写真を見せてもらったとき、私と同じくらい驚いていたなあ。誰が見ても広くて、ブランド力も強い。そこで披露宴を行いたいと考えるような新郎新婦なら、尚更。
ぐ「でもさ、カタログ見てるAちゃん、本当に楽しそうに見えたけどなあ」
『へ？』
ぐ「好きなことならチャレンジしてみても良いんじゃない？って、俺は思うけどね！」
『……皆はそう思う？』
ス「もちろん。……あ、鹿楓堂の店主としては、Aちゃんを持っていかれちゃうのは痛手だけどね？」
『えっ、ここを離れるつもりはさらさらないよ？！』
ス「分かってるよ、大丈夫。きっとAちゃんにとって、良い経験になるよ」
私の背中を、優しく押してくれる三人。そうだ、きっと私の糧になる。会場装花を担当して学んだことを、鹿楓堂に活かすことだって可能なんだから……そう思うと、それほど悪いことじゃない気がしてくる。長期的に離れるわけでもないし、打合せを何回か重ねるくらいだ。
『……うん、じゃあやってみようかな！とりあえず！』
と「何かお手伝いできることがあれば、いつでも言ってくださいね」
ぐ「そうだよ！力仕事なら任せて！」
ス「無理はしないようにね、Aちゃん」
『ありがとう！』
椿くんとは話せなかったけれど、……きっと分かってくれるよね？
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