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貴方.
『……ん〜っ！美味しい！』
椿「甘すぎない？」
『うん、丁度いい甘さというか……！絶妙！椿くん、天才！』
椿「……大袈裟、」
ふっと頬を緩めた椿くんは、「クリーム」と私の口の端を拭った。……あ、子供っぽいって思われたかな。
それはさておき、全力でリアクションをとってしまうほど、椿くんのスイーツは絶品なのだ。まだ客として鹿楓堂に通っていた頃、メニュー表の全スイーツを制覇してしまったことがあるほど……因みにこれは恥ずかしくて、椿くんに言ったことはないけれど。
椿「……まあでも、ありがと。Aに感想言ってもらえると、自信持って出せるし」
『こちらこそだよ！私は椿くんの美味しいスイーツが、世に出る前に食べられるし……一石二鳥！』
椿「ふふ、何それ」
『そのまんまの意味！』
目を細めて笑った椿くんは、同じように笑った私を見て恥ずかしくなったのか、すぐに表情を元に戻す。惜しいなあ、椿くんの笑顔って本当に可愛いのに……
ちょっと残念に思いながらも、使い終わった食器とフォークを流し台に持っていく。店内はまだ余裕があるし、お皿洗っちゃおっと。程よい甘さの抹茶の風味を噛み締めながら、蛇口を捻った。
椿「……A」
『ん？』
椿「今日は遅くまでいるの？」
『あ〜……うん、そうだね。いるよ、』
椿「そっか」
『……心配ありがとう、もう大丈夫だから！』
「ね？」と念を押せば、困ったように眉が下がっていた椿くんも、あっという間に元通り。「別に心配とかじゃないけど」なんて、どこまでツンデレなんだか……本当に心優しい人だと分かるから、何だか笑顔になってしまう。
椿「……その顔やめてよ、何か腹立つ」
『え？！』
椿「微笑ましそうな顔じゃん」
『そんなこと……』
椿「絶対思ってる」
『思ってないもーん！』
「嘘だ」と繰り返す椿くんは、どこか悔しそうで。そんな表情すら可愛いのだから、全てが逆効果であると、誰か彼に教えてあげてほしい。
『はいはい、じゃあ私レジに戻るね？』
椿「……ん、また後で」
何やかんや言いつつも、ひらひらと手を振ってくれる椿くん。やっぱり可愛い人だ。
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