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貴方.
「……A、めちゃくちゃ手際良いね」
『え、そうかな……?』
「うん。間違いない!」
きらっきらの笑顔でそう言ってのける涼介くんに、思わず笑ってしまう。そんな私を見て、「真剣に言ってるんだよ?」と首を傾げる彼のことを、この頃アイドルだなあ……と思うことが増えた。いや、アイドルなのだけど。
一人の人間として出会ったからか、あまり芸能人としての姿を知らないことが関係してるのかも、なんて。
「いや〜、こういうの憧れだったんだよ。彼女と一緒に料理とか」
『……ふふ、ちょっと分かるかも』
「お、共感してくれる?」
『何かね、いいよね……隣に立って料理するの、』
ちょっとお洒落にワインを開けてみたりして……まだそこまでお酒に詳しくはない私をリードしてくれる涼介くんは、「飲みやすいと思って」とボトルごと持ってきてくれる。色んな種類のものをくれるけど、二人でいるときしか飲まないからあまり減らないんだよね。
食材を切り分けていると、涼介くんは「あ、」と声を出し、そのまま手を洗い始めた。
『どうかした?』
「ん、袖が……直してあげる、」
『へ?』
「汚れちゃうでしょ」
涼介くんは私の背後に回ると、ずれ落ちた袖を捲り直してくれた。まるで後ろから抱き締められているかのような体勢に、意識せずとも顔が熱くなる。……これくらいは当たり前だよね、なんて保険をかけたりして、
圧倒的に経験が少ない私は、こんな些細なことにも恥ずかしくなってしまう。
「……ふ、耳真っ赤だ、」
『だって、……近くて』
「ごめんごめん」
軽く謝りながらも、私から離れることはなく……腰の辺りに回された腕は、意外にも逞しい。役作りやら何やらで、筋トレに力を入れてたとか……私なんてプニプニだから、ちょっと憧れちゃうな。
「……Aってさ、余裕あるんだかないんだか分かんないね」
『へ、そうかな?』
「うん、今だってもう慣れちゃってるでしょ?」
『言われてみれば……』
私の肩に顔を埋めた涼介くんは、「俺ばっかりだね」なんて笑う。
「……俺ばっかりドキドキさせられてる」
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ひろ(プロフ) - はじめまして!流星さんの書くお話大方読ませていただいております!全て面白くて大好きなのですが、中でもこのお話が甘くてキュンとして大好きです!沢山いつもありがとうございます(,,> <,,)無理せず体調面などお気をつけてお過ごしくださいね (2023年2月3日 3時) (レス) id: eca626ebab (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - 華名嘉さん» 華名嘉さん、はじめまして!コメントありがとうございます。私の話でキュンキュンしていただけるなんて光栄です( ; ; )お気遣いありがとうございます!これからものんびりなペースだとは思いますが、よろしくお願いいたします! (2022年1月13日 18時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
華名嘉 - はじめまして!読んでいてとてもキュンキュンしています!!!無理せず、更新頑張ってください! (2022年1月8日 11時) (レス) @page28 id: df2eb067ab (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - めもりさん» めもりさん、はじめまして!コメントありがとうございます。やりすぎかな?と不安になるくらい意識して甘く書いていたので、そう言ってもらえると嬉しいです( ; ; )これからもよろしくお願いいたします! (2021年12月8日 0時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
めもり(プロフ) - はじめまして!流星さんの描く山田くんが優しくて甘くてすごく好きです…!更新毎回楽しみにしていますっ! (2021年12月6日 1時) (レス) @page8 id: 1ebe0deea6 (このIDを非表示/違反報告)
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