4. ページ4
貴方.
「……失礼します」
『あ……どうぞ！』
佐々木さんのアドバイス通り、メイクはナチュラルにして、用意された部屋着に着替えて待っていた。
緊張しているせいか、ドキドキとうるさい心臓を押さえつける。丁寧な3回のノックに返事をした声は、どこか震えているように感じた。自分のものなのに、誰か他の人の声のようで……どんな人が来るのかも知らないのだから、当然と言えばそうだけど。
ゆっくりと開かれたドアの向こうから現れたのは、……この世の人間とは思えないほど、綺麗な人だった。
『はっ……初めまして！結野Aと申します！』
「ああ……佐々木さんから、話は聞いてます」
控えめに笑った彼は、「山田涼介です」と名乗ってくれた。山田さん……少し長めの前髪に隠れているけれど、本当に顔が整っている。芸能人というのは、こうもオーラが違うのか……なんて、出会って数秒なのに、もうすっかり魅せられてしまった。
「……ふ、見すぎ」
『へ……あ！すみません！』
「いいよ、気にしないから。……そんなに珍しかった？」
『珍しい……というか、その、こんなこと言われ慣れてると思うんですけど』
「本当に綺麗な人だと思って」と返せば、山田さんは既に大きな目をさらに大きく見開いた。まん丸だ……なんて、流石はアイドル。表情が豊かすぎるというか、何というか……
「……びっくりした。ほんとに知らないんだ？俺のこと」
『あ……すみません。テレビとか、そういうのに疎くて。でも他の女の子なら絶対知ってますよね、山田さんのこと』
「そうだといいけど……ううん。今ここにいてくれるのが、俺を知らない人で良かったなって」
『……え？』
目を伏せて、どこか自嘲気味に笑った山田さんは、「変なこと言ってごめんね」と、また笑う。見るからに高そうな、しっかりとしたコートを脱ぐと、ハンガーにかけながら私を見やった。
「ほら、変な色眼鏡で俺のこと判断したりしないでしょ？俺のこと何も知らない子なら、」
『……それは』
「いいの、気にしないで。慣れてるからさ」
どこか悲しそうに笑う山田さんに、胸の奥が苦しくなった。
とても綺麗だけれど、触れたら壊れそうなほど儚く見える。第一印象は、そんな感じだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひろ(プロフ) - はじめまして！流星さんの書くお話大方読ませていただいております！全て面白くて大好きなのですが、中でもこのお話が甘くてキュンとして大好きです！沢山いつもありがとうございます(,,> <,,)無理せず体調面などお気をつけてお過ごしくださいね (2023年2月3日 3時) (
レス) id: eca626ebab (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - 華名嘉さん» 華名嘉さん、はじめまして！コメントありがとうございます。私の話でキュンキュンしていただけるなんて光栄です（ ; ; ）お気遣いありがとうございます！これからものんびりなペースだとは思いますが、よろしくお願いいたします！ (2022年1月13日 18時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
華名嘉 - はじめまして！読んでいてとてもキュンキュンしています!!!無理せず、更新頑張ってください！ (2022年1月8日 11時) (レス) @page28 id: df2eb067ab (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - めもりさん» めもりさん、はじめまして！コメントありがとうございます。やりすぎかな？と不安になるくらい意識して甘く書いていたので、そう言ってもらえると嬉しいです（ ; ; ）これからもよろしくお願いいたします！ (2021年12月8日 0時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
めもり(プロフ) - はじめまして！流星さんの描く山田くんが優しくて甘くてすごく好きです…！更新毎回楽しみにしていますっ！ (2021年12月6日 1時) (レス) @page8 id: 1ebe0deea6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
