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貴方.
『……え、こんなにたくさん……どうしたの?』
「Aにあげたくて」
「あんまり外出れないんでしょ?」と、なんてことのないようにさらりと言ってのける涼介くん。
彼が両手一杯に抱えてきたのは、色々なブランドのショッピングバッグ。前回会ってからそう時間は経っていなかったから、私は私で複雑な気持ちを持て余していて……それでも涼介くんには関係ないことだから、努めて笑顔でいるようにしていた。
『でも……申し訳ないよ、』
「そう思うなら、たくさん使ってくれたら嬉しいな」
『……それは、もちろん、だけど』
「ほら!Aがどんなのが好きかなとか、俺も探り探りだったんだけどさ」
中身を取り出しては、「これとか似合いそうだと思って」「今度これ着て出かけない?」「こういう色、俺好きなのよ」なんて、楽しそうに笑う。くしゃりと目尻に皺が寄るその笑顔は、作り笑いではなかった。それくらいは見極められるほど、もう長いこと彼のそばにいるのだと思う。
私でも知っているようなハイブランドのものもあれば、きっとオシャレな人しか知らないであろうブランドも。レディースファッションのお店に、一人で入ったのかと思うと……ちょっと可愛らしく感じた。
「……うん、かわいい」
『ありがとう、大切にするね』
「ぜひそうしてください!」
少しふざけたように笑う涼介くんは、手に持っていたワンピースを軽く畳んでソファに置くと、「そうだ」と少し小さな紙袋を取り出した。
シンプルな包装がされたそれを、開けずにそのまま私に渡す。「ちょっと見てみて」なんて、さっきよりは緊張しているような表情を浮かべた。
『……これ、……指輪?』
「うん、ネックレスになるんだけど」
「ちょっと貸して」と私の手から指輪を摘み上げると、箱に入っていたシンプルなシルバーのネックレスに取り付ける。慣れた手つきでその作業を終えた涼介くんは、「似合うと思ったんだよね」と笑った。
「……付けてもいい?」
『うん、もちろん。付けてくれる?』
「任せてください」
髪を束ねて軽く持ち上げると、涼介くんの腕が後ろから伸びてくる。そして首の周りをぐるりと一周して、特にもたつくことなくネックレスを付けてくれた。途端に感じる金属特有の冷たさと、ほんの少しの重み。それが何だかくすぐったくて、頬が緩んだ。
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ひろ(プロフ) - はじめまして!流星さんの書くお話大方読ませていただいております!全て面白くて大好きなのですが、中でもこのお話が甘くてキュンとして大好きです!沢山いつもありがとうございます(,,> <,,)無理せず体調面などお気をつけてお過ごしくださいね (2023年2月3日 3時) (レス) id: eca626ebab (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - 華名嘉さん» 華名嘉さん、はじめまして!コメントありがとうございます。私の話でキュンキュンしていただけるなんて光栄です( ; ; )お気遣いありがとうございます!これからものんびりなペースだとは思いますが、よろしくお願いいたします! (2022年1月13日 18時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
華名嘉 - はじめまして!読んでいてとてもキュンキュンしています!!!無理せず、更新頑張ってください! (2022年1月8日 11時) (レス) @page28 id: df2eb067ab (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - めもりさん» めもりさん、はじめまして!コメントありがとうございます。やりすぎかな?と不安になるくらい意識して甘く書いていたので、そう言ってもらえると嬉しいです( ; ; )これからもよろしくお願いいたします! (2021年12月8日 0時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
めもり(プロフ) - はじめまして!流星さんの描く山田くんが優しくて甘くてすごく好きです…!更新毎回楽しみにしていますっ! (2021年12月6日 1時) (レス) @page8 id: 1ebe0deea6 (このIDを非表示/違反報告)
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