62. 愛情の上書きとやら ページ12
貴方.
涼「……流石に俺も、それは、怒るけど、」
『え……と、あのね、』
涼「ダメ、聞きたくない」
『違うの、……ほんとに、あの、』
語気は強くないけれど、いつもより水分を多く含んだ瞳は、私に対して何かを訴えかけていて。怒るというより、今にも泣き出しそうな顔だ。
そのままぎゅっと抱き締められて、涼介の指が私の首筋に触れる。まるで氷のようにひんやりと冷たいそれが、すぅっと移動する度に変な声が出そうになって、必死に堪えた。待って、ほんとに、誤解なのに……！！
遡ること数時間前。……今日の仕事は、雑誌の撮影だった。
.
「……あら？Aちゃんってば、珍しいこともあるもんだね〜」
『えっ、なになに？どうかした？』
「とぼけないでよ〜(笑)やっぱり彼氏いるんだ？」
『……どうしよう、本当に心当たりないんだけど』
メイクの最終確認をしているところ、なぜだかニヤニヤと楽しそうなメイクさんに茶化される。「彼氏」というワードを聞くと、いつもバレたんじゃないかと不安になるけど……そんなことは顔に出さずに、さらりと受け流すことを心掛けている。
本当に分からない様子の私を見兼ねてか、彼女は、鏡を通して私の首元を見せる。
『……うわっ、なんてとこ刺されてるんだろ』
「え〜、何だ。蚊に刺されただけ？」
『そうだよ〜。もう、よく見たら分かるでしょ？(笑)』
「自覚したら痒くなってきたんだけど」と言えば、彼女は手を叩いて笑った。
彼女が間違えていたものを、何とは言わないけれど……首筋に、真っ赤な痕がひとつ。蚊に刺されていることに気が付いてからはなるべく掻かないように気遣ったけれど、一度気になり始めると気になって仕方なくなってしまうのが人間という生き物。
撮影中はコンシーラーやらファンデーションやらで完璧に隠してもらったけど、終わってからはそんなこと頭からすっぽ抜けているわけで。
何も気にせず涼介の家に帰って、冒頭に戻る……というわけだ。
ただ弁解すればいいだけなのに、涼介は思っていたよりも事を深刻に受け止めているようで。いやまあ、そりゃ私が涼介の立場ならそうなるよ。当たり前だ。
それでも私にとっては、ただ痒みを伴うだけのそれなわけだから、上手く対応できないのだ。おまけに涼介が話を聞いてくれない。こんなに聞く耳を持ってくれないの、初めてかも……
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流星(プロフ) - りーさん» りーさん、コメントありがとうございます。本当にお待たせしてすみません…（ ; ; ）楽しみにしてくださるお気持ちに応えられるよう、私なりのペースではありますが、今後も頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします！ (2023年2月4日 3時) (
レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - ちゅんさん» ちゅんさん、コメントありがとうございます。いつまでも応援してくださる方がいて、私は本当に幸せ者です（ ; ; ）お待たせいたしましたが、細々と続けて参りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします！ (2023年2月4日 3時) (レス) @page50 id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
りー - 更新楽しみに待ってます…！ (2022年8月29日 20時) (レス) id: 6a01619271 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しかったです！この作品とっても大好きです！！これからも応援してます！！！ (2022年5月9日 23時) (レス) @page50 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - りーさん» りーさん、いつもありがとうございます！有り難いお言葉すぎます（ ; ; ）そうですね、そろそろメンバーにバレてもおかしくないですよね…（笑）入念に計画しようと思います！これからもよろしくお願いいたします！ (2022年3月13日 0時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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