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貴方.
『まあ、それで……観た上で、涼介のことが心配になって』
涼「俺?」
『うん……あんなにキツい役作りしてたの、付き合う前だったから』
「私何もしてあげられなかったし」と呟いては、また暗い気持ちになった。あの頃はただ見守るしかできなかったから。もしかしたらそれが最善の選択だったのかもしれないけど、どうにも引っかかる。
辛い減量の先にあったのは、きっと他の誰にも表現できないであろうお芝居で。儚くて、今にも消えてしまいそうな涼介の姿を見て……何だろう。感動したけど、それと同時に、涼介がどこか遠くへ行ってしまうんじゃないかと不安になった。
背中に回した腕に力を込めると、同じだけ抱き締め返してくれる涼介。それだけで、ちゃんと生きているのだと実感できた。
『……帰って来てね、綺麗な顔で寝てるんだもん。不安になって、ちょっと触っちゃった。ごめんね』
涼「んーん、……なんて可愛いことしてくれるんだろうって、びっくりしてるよ、今」
『可愛くなんかないよ……』
涼「可愛いよ、俺の彼女が世界一!……ああもうどうしよ、結構ガチできてる」
『へ、』
ゆっくりと離れたと思えば、真正面にあるのは涼介の顔。スクリーンに映っていたものとは違って、リラックスした穏やかな笑顔だった。
そしてそのまま両頬に添えられた手からは、心地よい温もりが伝わってくる。ちゅ、と可愛らしいリップ音が鳴って、2回、3回と唇が重ねられた。……キスをして気付くなんて中々恥ずかしいけれど、目の前にいるのはやっぱり涼介なんだなあ。
ただ触れるだけのそれが、段々と深くなる。口から漏れた吐息は熱くて、ゆっくりと開いた瞳の向こう、涼介の顔が見えた。
涼「……大丈夫。俺はここにいるし、Aちゃんにこうして触れられるから。どこにも行かないよ」
『りょうすけ……』
涼「それにさ、多分どうなっても、俺はAちゃんのところに戻ってくるから」
「そのときは待っててほしいな」と、落ちてきた私の髪を耳にかけると、また一段と優しいキス。それだけでもう、どれほど大切にされているかが痛いほど分かってしまう。……胸が苦しい。
空いた手同士で繋ぐと、どちらからともなく指が絡められる。
『涼介のそういうとこ、好き』
涼「……ほんと待って、もたないから」
『ふふ、』
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流星(プロフ) - りーさん» りーさん、コメントありがとうございます。本当にお待たせしてすみません…( ; ; )楽しみにしてくださるお気持ちに応えられるよう、私なりのペースではありますが、今後も頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします! (2023年2月4日 3時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - ちゅんさん» ちゅんさん、コメントありがとうございます。いつまでも応援してくださる方がいて、私は本当に幸せ者です( ; ; )お待たせいたしましたが、細々と続けて参りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします! (2023年2月4日 3時) (レス) @page50 id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
りー - 更新楽しみに待ってます…! (2022年8月29日 20時) (レス) id: 6a01619271 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しかったです!この作品とっても大好きです!!これからも応援してます!!! (2022年5月9日 23時) (レス) @page50 id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
流星(プロフ) - りーさん» りーさん、いつもありがとうございます!有り難いお言葉すぎます( ; ; )そうですね、そろそろメンバーにバレてもおかしくないですよね…(笑)入念に計画しようと思います!これからもよろしくお願いいたします! (2022年3月13日 0時) (レス) id: e764027ef8 (このIDを非表示/違反報告)
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